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銀座の夜の過ごし方について思うこと

台風14号に起因する風が、ガタガタと雨戸を揺らしています。今晩は、ゆっくり眠ることができないかも知れないなあと思うと鬱になりますが、天災はやむを得ないですね。多くの方々の無事を祈りたいものです。

さて、……

銀座のクラブでの「遊び方」についての議論が今でも行われている。それはもちろん、有名な俳優さんの振る舞いが発端となったのは間違いない。

この議論において、結構多いのが「昔の銀座だったらこんなこと(表沙汰)にはならなかった」という説。でも、それは単に自分の主張を良いように補強するための方便でしかない。

江戸時代の遊郭だったら、まあそうだったかも知れないとも思う(もちろん、良し悪しは度外視しての話)が、そんな話をしたところで令和のあるべき銀座の姿を描くことには繋がらないだろう。

クラブを原義から考えれば、本来会員制の組織である。入会するのには複数の会員の推薦が必要というのが、基本的な姿である。

それだけに、推薦する人間の「人を見る目」も問われることになる。そのクラブに相応しいという太鼓判を押すことになるのだから、当然である。

昔は、そういうクラブが結構あったように記憶している。いわゆる一見さんお断りである。店の品位と客の質は、そのようなやり方で保たれていたというのが私の見立て。

今回の問題の発端となったクラブがどうだったのかは、私も寡聞にして知らない。仮に会員制であったとしたら、推薦した人間の眼力はかなり酷いものであったと言わざるを得ない。

本件について銀座のママの意見を取りあげた記事も読んだけれど、具体的にご無体な客に対する対応スタンスが今ひとつ明確ではないように感じられた。経営に携わる立場としては今ひとつだと感じている。

銀座のクラブで、座っただけで3~5万円を取るのが当たり前というのは昔からあった。でも、それが令和の時代に適しているか、通用するかという点については、明確に疑問を感じる。

特殊伝統芸能的に生き残るつもりならばそれもアリなのかも知れない。でも、生業として成り立たせるのは、今の時代には難しいと思う。

長い不景気で企業も交際費は絞っている。加えて、客の側も時間的余裕がなく人格を練ることも難しくなった。一部の小金持ちさんに品格があるかはひとえに運という世相の中で、知性と教養のあるホステスさんのニーズはどうしても下がってしまう。

本来、このような世相を生み出すに至った政府の経済運営に対して銀座のママさんたちも一言もの申すべきだったのではなかろうか。影響力があるのであれば、そうすべきだったはず。

残念ながらそうしなかったことが回り回って品のない客のご乱行を招いたように思うのだけど、そういう見方は酷だろうか。

お読み頂き、ありがとうございました。

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