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証拠資料も改ざん?子宮頸がんワクチン薬害ねつ造実験裁判で。

2016年3月16日の夜、TBSのNEWS23で信州大学元医学部長の池田修一氏が、「子宮頸がんワクチン」と示されたマウスの脳切片だけが緑に光るスライドを示しながら「明らかに脳に障害が起こっている。ワクチンを打った後、こういう脳障害を訴えている患者の共通した客観的所見が提示できている」「子宮頸がんワクチンを打ったマウスだけ、脳の海馬・記憶の中枢に異常な抗体が沈着。海馬の機能を障害していそうだ」と発表した実験について、①池田氏が示した脳切片は、実はワクチンを打っていないマウスのものだったこと、②ワクチンを打ったのは、自己抗体が自然にできる非常に特殊な遺伝子改変マウスで、このマウスからとった自己抗体たっぷりの血清を、別の正常マウスの脳切片にふりかけて撮った写真だったこと、③そのため、他のワクチンを打ったマウスからとった血清を振りかけた脳切片でも緑に染まったものがあったが、池田氏は子宮頸がんワクチンと示された脳切片だけが緑に染まった組み合わせのスライドを発表したこと、④緑に光ったのは「マウス1匹」の結果だったことを指して、薬害の捏造と書いた筆者の記事に対し、池田氏は名誉棄損裁判を起こした。

重要証拠のスライドを水増し

あれから2年近くが過ぎた現在も、裁判は継続中だ。そして、今月末、この裁判もついに証人尋問を迎える。

証人尋問に先立つ6月末、筆者は、関係者への取材を通じて、新たな資料を入手するに至った。信州大学が2016年秋に実施した本調査委員会の内部資料である。

この資料には、原告が開示を渋っていた、「プログレスミーティング(進捗報告会のこと)のスライド」も含まれていた。

原告池田修一氏によれば、A氏から実験についての説明を受けたのは、「2015年12月28日のプログレスミーティング1回限り」とのこと。筆者は当初より、このプログレスミーティングのスライドを公開するよう求めていたが、原告は「そんなに見たければ自分で取材して見つければよい」などと言って、開示を拒否していた。

2016年12月26日付けの求釈明書を始めに、第3回口頭弁論期日(2017年2月14日)でも、続く第4回口頭弁論期日(2017年4月11日)でもスライドの提出を求めたが、池田氏は「提出の予定はない」とした。

2017年5月ごろ、関係者への取材を通じ、A氏が、教授職を雇止めになった国際医療福祉大学を相手取り、裁判を起こしたことが明らかになった。驚いたことに、その訴訟代理人も池田氏の代理人と同じ清水勉弁護士らだった。

そのこと踏まえ、2017年9月27日、今度は文書提出命令申立書で、4度目となるプログレスミーティングの資料の開示を求めたところ、池田氏の代理人がA氏から入手したというプログレスミーティングの資料がやっと提出された。

これは計47枚のスライドからなるものだった。

ぱっと見では、内部資料に含まれているプログレスミーティングのスライドと同じものに見える。

しかし、改めて確認すると、内部資料には全部で19枚のスライドしかない。

写真そのものに手を加えたとか、無いものをあるように見せかける資料をゼロから作成したというわけではなさそうだが、どうやらスライド28枚が意図的に水増しされているようだ。

なぜなのか――。

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