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子宮頸がん(HPV)ワクチン、キャッチアップ接種終了まであと1年

子宮頸がん(HPV)ワクチンを無料で接種する権利があったのに接種しなかった女性が、定期接種年齢を過ぎても無料で接種できる「キャッチアップ接種」の特別措置は2025年3月に終了します。

対象は1997年4月2日~2007年4月1日生まれの女性です。

つまり、あと1年ちょっとで無料接種の権利は消滅してしまいますが、対象者の多くがまだ接種を受けておらず、キャッチアップ接種率はほとんどの自治体で10%以下です。

日本と同じく接種率が激減したデンマークではキャッチアップ接種のおかげで接種率は一時的に100%を超えるほどにまで回復したのに、日本では、2022年4月に積極的接種勧奨(定期接種対象者に対する無料接種の通知)が再開しても、2023年4月からは9価が定期導入となっても、定期接種率は3割程度までしか回復していません

日本の子宮頸がんワクチンの接種率は、かつて8割ほどありました。接種率が上がらないのは、接種の通知が行かないから、つまり無料で接種できることを知らないからという話でした。また、新しく効果の高い9価ワクチンが定期接種ワクチンになり、無料で打てるようになるまで待っている人がいるからではないかという話でした。

しかし、積極的接種勧奨が再開しても、9価接種が定期接種として摂取できるようになっても、定期での接種率は3割程度に留まっているのです。

この事実はわたしを含む多くの日本人医師の心に暗い影を落としています。

1月25日放送の文化放送「おはよう寺ちゃん」では、HPVワクチンのキャッチアップ接種について色々と話したので、ぜひ聞いて下さい。ワクチン被害者だという人たちが、国とワクチンメーカーを相手取った集団訴訟の話にも触れています。

HPVワクチンについては、昨年の3月頃に映像もこちらにあるので是非ご覧ください。ワクチンの効果は年齢が上がるほど減っていきます。だから、HPVワクチンは定期接種年齢で、できれば1年でも早く接種することがとても大切です。


最後に、昨年の「守れる命を守る会+女子大学生」で作成した啓発ビデオ「HPVワクチンでわたしを守る、みんなも守る」をぜひ個人や団体、自治体やクリニックなどのSNSやウェブサイトでシェアして啓発にご協力いただけると嬉しいです。(わたしも参加しています)

ショートバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=mPDIEeVpo-8

ロングバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=ylUlJkqj_RM&t=136s

子宮頸がんワクチンの効果と安全性は確立しています。ワクチン接種後に起きているという、けいれんや慢性疼痛などの症状とワクチン薬剤は無関係です。単純に、接種する年齢の人にたまに見られる症状だというだけです。

定期接種年齢(小6から高1)の人は「接種期間は5年もあるし、まだいいや」と思わず小6や中1などできるだけ早いうちに、キャッチアップ接種年齢の人は無料で打てるうち(2025年3月まで)に安心して接種してください。

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