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子宮頸がんワクチンの「1回接種」最前線

最近、わたしが昨年書いた(2019年1月に更新)「子宮頸がんワクチンの3回接種は本当に必要?あなたに必要な接種スケジュールを考える」が、このところまたよく読まれています。

この記事でも少し触れている話ですが、今日はHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防する子宮頸がんワクチンの「1回接種」に関する最新の情報と考え方をご紹介します。

はじめに、日本の厚生労働省は、定期接種導入直後の2013年6月より、世界で安全性と効果の確認されている子宮頸がんワクチンの「積極的接種勧奨を停止」しています。

「国も安全性に自信が持てないからお勧めしないのだ」と思っている国民はたくさんいますが、それは誤解です。積極的接種勧奨というのは、定期接種対象年齢の子どもがいる家庭に接種の通知を送るのをやめることを意味するにすぎず、子宮頸がんワクチンは2013年4月の導入から今日に至るまで、国が安全性と効果を評価したうえで定期接種としているワクチンです。もちろん今でも、接種対象年齢(その年に中1になる子から高1までの女子)は全員無料でこのワクチンを接種することができます。

日本の子宮頸がんワクチン接種スケジュールは、0,2,6ヶ月と間隔をあけて3回接種となっています。国が接種を推奨していないワクチンなのに、国の推奨スケジュールは存在するというのは何だかおかしな状況なのですが、世界では今、このワクチンを「1回だけ接種する」というスケジュールが本格的に検討され始めています。

世界ではすでに2回接種が常識

「3回のところを2回にではなく1回にというのはどういうことか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

それは、世界では子宮頸がんワクチンの接種スケジュールはとっくの昔に、3回ではなく2回接種が主流になっているからです。

子宮頸がんワクチンには、2価(がんを引き起こしやすい2種類の型のHPV感染を防ぐという意味)、4価、9価ワクチンの3種類(ただし、日本では最新の効果が高い9価ワクチンの承認審査が止まってしまい、使えません)がありますが、2回接種のスケジュールは、この3種のうちいずれかのワクチンを何らかの組み合わせで2回接種するものです。

実際にどのワクチンをどんなタイミングで打つべきかについては、「子宮頸がんワクチンの3回接種は本当に必要?あなたに必要な接種スケジュールを考える」に詳しく書いてあるので、ぜひ読んでみてください。

メガファーマの売り上げの約1割が子宮頸がんワクチン

さて、子宮頸がんワクチンは史上初のがん予防を目的としたワクチンとして歴史に名を刻むとともに、「ワクチンの価格を2桁つり上げたワクチン」としてもその名を刻んでいます。

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