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WHOによるウイルスの起原の調査報告書【会見編】

「分かったこと、分かっていたことはこんなにあった」

これが120頁におよぶ「WHOウイルスの起原の調査報告書」を読み終えた感想です。去る3月30日、1月14日から2月10日にかけて行われた、WHOによる新型コロナウイルスの起原の調査報告書が発表されました。発表の同時、日米を含む世界14カ国が「世界保健機関(WHO)新型コロナウイルス起源調査に関する共同声明」を発表して同報告書と中国を批判したこともあり、日本のメディアでは「中国が情報開示を拒否した」「WHOは実験施設からのリーク説を強く否定」など、中国との対立を深めるアメリカの評価そのままに、中国とWHOを強く批判する報道が目立ちました。

報告書のウェブアップは会見の直前でした。わたしも会見が終わってから報告書を読みましたが、日本の記者で会見や海外の報道だけでなく、原典の「WHOによるウイルスの起原の調査報告書」を読んだ上で記事を書いた人は何人いたのでしょうか。

この記事では、テドロス事務局長が中国批判をしたとして報道された「WHOによるウイルスの起原の調査報告書」の発表会見のハイライトをまとめます。次の記事「WHOによるウイルスの起原の調査報告書【ハイライト抄訳編】」では、非常に興味深い内容をもつ報告書の概要を筆者の興味の赴くままにまとめます。3つ目の記事では、この調査と調査報告書の意味するところについて、わたしなりの解釈を書きたいと思います。

WHO会見@2021年3月30日 16時~(現地時間)

【テドロス事務局長】

この報告書は重要な始まりだが、終わりではない。ウイルスの起原をまだ見つけることはできていないが、わたしたちは科学に基づき最後の一石までひっくりかえして調査を続ける必要がある。

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