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2022年「国際女性デー」に寄せて、子宮頸がんワクチンのこと

「守れる命を守る会」は4年前の今日、国際女性デーに記者会見を開きいて「子宮頸がん予防HPVワクチン接種の積極的勧奨再開に関する声明」と「子宮頸がんから日本人女性の命と健康を守るための 科学的な言論活動を支援する声明」の2つの声明を発表しました。

関係者の努力が実り、来月から8年10か月ぶりに子宮頸がんワクチンの勧奨が再開します。接種の機会を逃した女性に対するキャッチアップ接種(定期接種年齢の小6から高1を過ぎていても無料で接種できること)も行われます。

今年の国際女性デーはやっと子宮頸がんワクチンの勧奨停止について呼びかけずに済むようになりました。本当にうれしいことです!

今では科学リテラシーと良識を持つ日本人の大半が、このワクチンの安全性と効果に対する正しい理解を持っています。けれども、わたしが子宮頸がんワクチンに執筆を始めた2014年当初はほぼ誰もこのワクチンに関する正しい情報は一般の人に伝わっておらず、みんなが子宮頸がんワクチンは危ないと信じ切ていました。また、産婦人科や小児科の学術団体以外ではこのワクチンに関する正しい情報発信を行う団体はほとんどありませんでした。

皆さんに感謝の気持ちをお伝えしたいですし、「ワクチンで防げる子宮頸がんはワクチンで防ぐ」という世界スタンダードの予防を日本の女性たちも当たり前に享受できるようになったことを心から喜びたいと思います。

ワクチンで戻らない命や健康もあるが今からでも接種すべき

ワクチンにはがんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防する効果はありますが、一度感染したHPVを排除する効果はありません。ワクチンの効果は、定期接種年齢で打つのとそうでないのとでは大きく異なります。(詳しくは下の記事をご参照ください)

また、世界でスタンダードとなっているがん予防効果のより高い9価ワクチンは日本ではまだ定期接種で無料で使用できず、先進国では日本だけが古い4価のワクチンで定期接種を続けることになります。

だから今からワクチンを打っても十分な予防効果が得られない人もたくさんいますし、日本の若い女性たちは他の先進国の女性たちと同じ子宮頸がん予防効果が得られるようにいなったわけではないことについては十分に理解しておく必要があります。

ただ、皆さん新型コロナワクチンの経験からももうご存知のとおり、新型コロナワクチンも

ワクチンの種類よりも接種のタイミングの方がずっと重要
②感染しても必ずしも重症化しない亡くならないからと言った理由で打たないでより、打った方がずっと安全

この2点は動かしようのない事実です。

小6から高1の対象年齢の女子は9価ワクチンが無料になるのを待たずに、有料で9価もしくは定期(無料)で4価を接種することを強く勧めます。

以下はわたしからの個人的な推奨になりますが、定期接種年齢を逃した方で余裕のある方は、たとえ無料キャッチアップの対象年齢であっても9価ワクチンを接種するのは有意義な選択肢だと思います。

ただし、ワクチンの値段を理由にためらっているくらいであれば1日でも早く4価ワクチンを打って下さい。

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