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2018年医学賞、本庶佑氏「ノーベル・レクチャー」解説

医療全般に関する一般向けの執筆や講演を行っています。特にワクチンや感染症に関する問題が専門ですが、医療に関するフェイクニュースの問題からノーベル賞まで幅広く書いています。お仕事のご依頼は「村中璃子ウェブサイト」の「お仕事のご依頼」のフォームからお願いします。

毎年、授賞式の前の「ノーベル・ウィーク」に行われるイベントに、受賞者が一般市民向けに自らの仕事や人生について語る「ノーベル・レクチャー」と呼ばれる講義があります。

2018年12月7日、スウェーデンのカロリンスカ研究所アウラメディアで行われた、2018年のノーベル医学・生理学賞受賞、本庶佑氏によるノーベル・レクチャーに出席する機会を得ました。

表紙の写真は、レクチャー終了後のレセプションで撮影した本庶佑氏と筆者の1枚です。

本庶氏のノーベル・レクチャーの模様はノーベル財団のサイトで無料公開されており、インターネットさえあれば誰でも視聴することができます。しかし、一般向けとは言え、英語が分かるだけでは専門外の医者や研究者にもとうてい理解できる内容ではありません。

本来であれば周辺取材やリサーチをしてレクチャーを読み解き、社会に伝えるのはメディアの仕事です。しかし日本のメディアはプレス席を埋め尽くし、群を抜いた数の記者を送り込んでいたにもかかわらず、テレビ中継もなければ(地元スウェーデンのテレビでは中継されていました)、レクチャーの内容についてきちんと解説した報道もありませんでした。

このレクチャーの内容が日本の一般市民にまったく伝わっていないのはもったいない――。

今日はそんな思いから筆をとりました。

最初に種明かしをしておくと、本庶氏がレクチャーの最後に熱く語ったのは、ダイエットや健康法でお馴染みのあの「腸内細菌」とがん免疫療法との関係。

論文や本を読んで必死の予習をしていった筆者も、よもやノーベル・レクチャーの最後に腸内細菌が登場するとは思わず、新パラダイムを切り開いた研究の素晴らしさだけでなく、科学の不思議や楽しさを実感しながら最後まで夢中で聞いたレクチャーでした。

日本人の2人に1人が罹る身近な病気「がん」に関する2018年ノーベル医学賞です。

これを機にその内容を理解して自分や家族の健康管理に役立てたいという人、興味はあるけれど英語も科学もあまり縁がないという人、レクチャーの映像を見たけれどやっぱりちんぷんかんぷんだったという人にも読んでいただければ嬉しいです。

なおこの記事は一般読者の方も理解しやすいよう、医師向け会員制サイト「m3」に寄稿した記事に画像資料を加えたうえで、できるだけ専門用語を使わない表現に加筆修正したものです。資料の表現は専門的ですので、分かりにくい方は本文だけ読んでください。

この記事1本で、本庶氏の歴史的ノーベル・レクチャーの意味を理解することができるはず。そして、その理解はこれから皆さんが目にするがんやがん免疫療法に関する情報を正しく理解し、自分や家族の命をどう守っていくのかを考える際にきっと役に立つはずです。

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2018年医学賞、本庶佑氏「ノーベル・レクチャー」解説

村中璃子 Riko Muranaka

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