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感染しないために、私たちにできること

こんにちは、りこ@産業医兼労働衛生コンサルタントです。
今日は、新型コロナウイルス感染症対策について、とてもわかりやすい2冊の本の紹介と、私たちにできる感染対策について書いていこうと思います。

今回ご紹介する本は以下の2冊です。
①「コロナ時代を生き抜くための 感染しない暮らしのススメ 距離とマスクと手洗いと」
 浜松医療センター院長補佐・感染症内科部長・衛生管理室長 矢野邦夫著
②「うっかりやりがちな 新型コロナ感染対策の間違い15」
 浜松医療センター院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野邦夫著

出版社リーダムハウスさんのページはこちらで、ヴァンメディカルさんのページはこちらです。感染しない暮らしについて、そして間違いやすい点について、とてもわかりやすく、そして詳しく書いてくださっています。次からは私自身が読んで重要だと思う部分をピックアップしていきます。

新しい生活様式

矢野先生は①の本の冒頭でこのように書かれています。

「新しい生活様式」とは、平たく言えば、感染しない暮らし方です。人との距離を保ち、必要に応じてマスクを着け、こまめに手を洗う。この3つを守りながら暮らすことです。
出典元;「コロナ時代を生き抜くための 感染しない暮らしのススメ 距離とマスクと手洗いと」浜松医療センター院長補佐・感染症内科部長・衛生管理室長 矢野邦夫著

とてもシンプルに、そして重要なメッセージだと思います。
この3つを毎日毎日コツコツ積み上げていくことが感染しないために、そして感染を拡げないために必要なのです。

また私が①の本を読んでいて、大事なポイントと思う文章を引用します。

ウイルスは宿主(人間や動物)の体内細胞の中でしか、生きることも増えることもできません。つまり、新型コロナウイルスは、感染した人の体の中にいるのです。これが大原則です。(中略)もうひとつ注意しておきたいところが、新型コロナウイルスが付着した環境中の表面部分です。具体的には、私たちが日常生活において習慣的に頻繁に手が触れる場所ということになります。なぜ、そんなところにいるかというと、新型コロナウイルスを持った人が、咳やくしゃみをした際にそれに伴って外に出た飛沫が直接的に環境の表面に付着する、あるいは咳やくしゃみの際に口や鼻を覆った手で環境の表面に触れることで、そこにウイルスが付着するからです。ある報告では、新型コロナウイルスは、ボール紙の表面では24時間以内、ステンレスやプラスティックの表面では最大3日生き続けると言われています。
出典元;「コロナ時代を生き抜くための 感染しない暮らしのススメ 距離とマスクと手洗いと」浜松医療センター院長補佐・感染症内科部長・衛生管理室長 矢野邦夫著

習慣的に頻繁に手が触れる場所としては、階段の手すり・電車やバスのつり革・エレベーターのボタン・銀行のATMの操作パネル・公園のベンチの手すり・ドアノブ・トイレ等があります。そこを触ったとしても、その手で口・鼻・目に触れなければ良いので、手洗いするまでは顔を触らないように気をつけようと思います。

どのように感染するのか等、わかりやすく絵も可愛く描かれていて読みやすいです。ぜひ読んでみてください。

身体的距離を保つこと

「身体的距離」とは、ウイルスを含んだ飛沫が口や鼻から飛び出して地面に落下するまでの飛行距離で、この飛行距離(2m)が新型コロナウイルスに直接感染するか否かを決める目安の距離ということになります。(中略)マスクはお互いが排出したり、吸い込んだりするウイルスの量を減らすことはできますが、100%阻止することはできません。しかし、「身体的距離」を確保すれば、ウイルスの侵入を100%阻止できるのです。
出典元;「コロナ時代を生き抜くための 感染しない暮らしのススメ 距離とマスクと手洗いと」浜松医療センター院長補佐・感染症内科部長・衛生管理室長 矢野邦夫著

なぜ2mなのか、ということについては、日本医師会COVID−19有識者会議 新型コロナウイルス感染症制御における「換気」に関して に詳しく載っていました。その図等を引用します。

身体的距離2mを意識することが生活する上で重要であることが理解できます。マスクも大切ですが、100%ではない。だからこそ、2mの距離を意識して離れることが自分を、そして相手を守るために大切なのです。屋外と屋内の違いなど、詳しくは①の本をご参照ください。

マスクの意義

私自身、マスクをつけることが当たり前になり、マスクを忘れるとすごく不安に思うようになってしまいました。矢野先生は①の本の中で詳しく解説してくださっています。以下に①本の文章の一部を引用します。

マスクは口と鼻を覆うために使うものです。(中略)マスクは「感染しないためにするものではなく、周囲に感染を拡げないために行う」。これが「咳エチケット」の基本的な考え方です。(中略)新型コロナウイルスに感染してもすぐには症状は出ません。実は症状が出る2日ほど前から感染者の体内ではウイルスの増殖がみられ、症状が出る前(発症前)が周囲の人に最も感染させるリスクが高いことがわかってきました。さらに厄介なことは、感染していても無症状のままで治ってしまう人が相当数(数%〜60%)存在するということです。(中略)ウイルスが体内にいても無症状のことがあるという括りには、私たちすべてが当てはまるからです。もしかしたら自分は感染していて、単に症状がないだけなのかも知れない。だとしたら、周囲の人々に感染を拡げてしまうかも知れない。お互いがそう考え、人と接する時には、“お互いに必ずマスクの着用を!“というのが、新型コロナウイルス感染防止における「咳エチケット」ということになります。
出典元;「コロナ時代を生き抜くための 感染しない暮らしのススメ 距離とマスクと手洗いと」浜松医療センター院長補佐・感染症内科部長・衛生管理室長 矢野邦夫著

私たちすべてが当てはまる。だからこそ、感染を拡げないためにマスクは重要なのですね。なぜ大事なのか、ということが本当によくわかりました。マスクは適切に使用することも大切だと先生は書かれています。そのことについては①の本をご参照ください。

手洗いについて


マスクを着用し、身体的距離2mを保つ。そしてもう一つ重要なのが「手洗い」です。①の本では手洗いについて、以下のように書かれています。

新型コロナウイルス対策としての「手洗い」の目的は、大きく分けて2つあります。ひとつは、ウイルスが付着した手で自分の目、鼻、口に触れて、そこから感染してしまうことを防ぐためです。もうひとつは、ウイルスを外部から持ち込まない、あるいは外へ持ち出さないためです。(中略)何かに触れたら手洗いをするということを常に意識しておくことが大切です。
出典元;「コロナ時代を生き抜くための 感染しない暮らしのススメ 距離とマスクと手洗いと」浜松医療センター院長補佐・感染症内科部長・衛生管理室長 矢野邦夫著

「何かに触れたら手洗い」というのは大変難しいと感じました。手洗いが難しい場合にアルコール消毒薬を頻繁に利用することを心がけたいと思います。①の本の中でも具体的に以下のように書かれています。

・スーパーやコンビニをはじめとする不特定多数の人々が出入りするお店に入る時とお店から出るときは、その都度、出入り口に設置してあるアルコール消毒薬で手指消毒
・共用する事務機器や物品に触れる前と触れた後に最寄りにおいてあるアルコール消毒薬を使って手指消毒
・帰宅したら真っ先に手指消毒。理想的にはアルコール消毒薬を携帯しておき、家に入る前に玄関前で手指消毒
出典元;「コロナ時代を生き抜くための 感染しない暮らしのススメ 距離とマスクと手洗いと」浜松医療センター院長補佐・感染症内科部長・衛生管理室長 矢野邦夫著 から一部改変

厚生労働省 新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)には、以下のように記載されています。

2. 手や指などのウイルス対策
1.手洗い
手や指についたウイルスの対策は、洗い流すことが最も重要です。手や指に付着しているウイルスの数は、流水による15秒の手洗いだけで1/100に、石けんやハンドソープで10秒もみ洗いし、流水で15秒すすぐと1万分の1に減らせます。
手洗いの後、さらに消毒液を使用する必要はありません。
参考:新型コロナウイルス対策ポスター「新型コロナウイルス対策 身のまわりを清潔にしましょう。」

2.アルコール(濃度70%以上95%以下のエタノール)
手洗いがすぐにできない状況では、アルコール消毒液も有効です。
アルコールは、ウイルスの「膜」を壊すことで無毒化するものです。
<使用方法>濃度70%以上95%以下(※)のエタノールを用いて、よくすりこみます。
(※) 60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられる報告があり、70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のエタノールを使用した消毒も差し支えありません
<注意事項>※アルコールに過敏な方は使用を控えてください。
※引火性があります。空間噴霧は絶対にやめてください。
参考:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A」(“新型コロナウイルスについて”問8 食品を介して新型コロナウイルス感染症に感染することはありますか。)
出典元;厚生労働省 新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)

手洗いについては、ポスターなどでも啓発されていて、歌もあり、私自身手洗いする時は手の隅々まで綺麗に洗えるように気をつけながら洗っています。私の場合は、石鹸で15〜20秒、水道水で10秒を目標に手洗いをしています。

新型コロナウイルス感染対策の正解

②の本では日常生活で私たちが「間違い」やすい点についてわかりやすく書かれています。その中でも私がハッとしたポイントを下記に列挙します。

★手洗い後は必ず手を乾燥させること。ペーパータオルや清潔なハンカチ・タオルで拭いて乾かすこと。
換気は1時間に1〜2回程度。窓の開けっぱなしはしなくて良い。
手指の高頻度接触面を重点的に清掃する。その際は家庭用洗剤で十分。数匹のウイルスが手指に付着し、そのまま目・鼻・口の粘膜に触れたとしても、粘膜にある粘液に阻まれて人間の細胞にたどり着けない。
★感染している可能性がある人が使用した衣類やタオルなどは直接、洗濯機に入れて洗う。他の家族の衣類と一緒に洗濯しても良い
★食器は、食器洗浄機を用いるときは他の食器と一緒に洗う。手洗いするときは水が飛び跳ねないように、洗浄剤を使って静かに洗う。
★今のところ食品または食品包装から感染したという事例はない。食品パッケージ自体を消毒する必要はないが、触った後は手洗いする。野菜・果物は水道水で洗うだけで十分。
宅配便の段ボールや包装紙を消毒する必要はないが、それを取り外した後に手洗いをする。
★街中で使用するマスクは布マスク・紙マスク・ハンカチの加工マスク等、なんでも良い。
★石鹸と水道水による手洗いをした後にアルコール手指消毒を追加する必要はない。どちらか一方で良い。
★何かに触れる前、触れた後に携帯用アルコール手指消毒薬を使用すると良い。しかし手指が肉眼的に汚れているときには効果が減弱するため、必ず石鹸と水道水で手洗いすること。
★アルコール手指消毒薬の主成分であるエタノール濃度は60%〜95%
★エタノールはすぐに蒸発するので広範囲の環境表面の消毒に使用することは困難。エタノールを長期間繰り返し使用するとゴムやプラスチックを変色させたりひび割れを引き起こす可能性がある。
★PCR陽性=「過去にウイルスが存在した」ということであって、「現在ウイルスが存在している」という根拠にはならない。
出典元;「うっかりやりがちな 新型コロナ感染対策の間違い15」浜松医療センター院長補佐 兼 感染症内科部長 兼 衛生管理室長 矢野邦夫著 から一部改変

手洗い後に必ず乾燥させること(ペーパータオルがおすすめ)、マスクの種類は問わないこと、手洗い後にアルコール消毒は不要であること、60%以上のエタノール濃度のものを買うこと、こまめにアルコール消毒することは有効だけど肉眼的に汚れているときは手洗いする、などなど、知っているようで知らないことが多く、大変勉強になりました。感染しない、させない努力のためにも正しい知識が必要です。皆さんもどうか正しい知識を身につけて正しく恐れ、正しく行動し、正しく感染対策を一緒にしていきましょう。

まとめ

感染対策の基本を今身につけておくことは、インフルエンザなどの他の感染症の感染予防にもつながります。ぜひ、身体的距離2mの確保、マスク着用、手洗い・アルコール消毒の3つを常に心がけて生活していきましょう。私も改めて対策を強化していこうと思いました。

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