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東京都障害者スポーツ大会「陸上競技(知的部門)(身体・精神部門)」を立教チームの学生ボランティアが支える!

前回、「立教チームで活動する1dayボランティア」のプログラムとして、「第25回 東京都障害者スポーツ大会 兼 第23回 全国障害者スポーツ大会派遣選手選考会」の水泳競技にボランティアとして参加しましたが、今回は5月25日(土)・26日(日)に開催された「陸上競技(知的部門)」、6月1日(土)に開催された「陸上競技(身体・精神部門)」に参加し、大会及び競技運営をサポートしました。
会場は、いずれも「駒沢オリンピック公園総合運動場 陸上競技場」です。

立教チームの参加学生は、初日:15名、2日目:10名、3日目:15名で、1日だけの参加者もいれば、複数日程参加した(全日程参加も!)学生もいました。立教チームとしての参加は3年目ですが、今回は昨年度・一昨年度から参加している学生がボランティアをマネジメントする役割を担うこともあり、経験を活かし、リーダーシップを発揮して活動する姿も多く見られました。

記事が少し長くなってしまいましたが、その分、参加学生の声を多めに掲載しておりますので、ぜひご覧ください!


東京都障害者スポーツ大会について

「東京都障害者スポーツ大会」は、1951年から行われてきた「東京都身体障害者スポーツ大会」と、1984年から行われてきた「東京都知的障害者スポーツ大会(東京ゆうあいピック)」が平成12年に統合したことにより誕生しました。
2006年度からは、一部の個人競技種目に精神部門を設けられ、「身体」「知的」「精神」の三障害を統合した都内最大規模の障害者スポーツ大会となっています。
また、同大会は国体の後に開催される「全国障害者スポーツ大会」の派遣選手選考会を兼ねており、全国大会を目指して競技に取り組んでいる選手も多数参加しています。

陸上競技では、「50m走」「100m走」「1500m走」「スラローム」「走幅跳」「立幅跳」「ジャベリックスロー」「ソフトボール投」が共通の種目として実施されるほか、身体・知的部門の種目として、「200m走」「800m走」「走高跳」「30m走(電動車いす)」、知的部門の種目として、「400m走」「25m 走(車いす)」、身体部門の種目として、「砲丸投」「ビーン バッグ投」が実施され、これら計16 種目で選手が競い合います。

立教生の活動(当日の様子)

今回も多くの参加学生がボランティア未経験者でしたが、どの学生も積極的に活動し、大会の円滑な運営に欠かせない存在となっていました。

また今回は、過去の参加学生がその経験を活かしたり、リーダーシップを発揮したりするなど、初参加の時(昨年度もしくは一昨年度)とは異なるかかわり方で活躍している姿が印象的でした。

それでは、各日の活動の様子をご覧ください!

■5月25日(土)の活動
〜知的部門①〜

「開会式の旗手」

ボランティア・スタッフを含む全員が集まって開かれる開会式では、国旗・大会旗の掲揚や供火や準備運動などが行われます。
その中で、一部の立教生が「旗手」を担当させていただきました。

「出発係」

「出発係」は、競技開始場所に到着した選手をそれぞれが出発するレーンに誘導する役割です。

スタート位置までの誘導
スタート位置までの誘導

競技開始の直前であり、選手の緊張感が最も高まっている場面だからこそ、丁寧にコミュニケーションをとらないと、選手が失格になってしまったり、フライングや競技開始時間の遅延が生まれ、大会全体の運営にも影響を及ぼしたりしてしまいます。

スタート一の案内

「選手はどんなサポートを求めているのか」を考え、試行錯誤しながら活動している学生の姿が印象的でした。

障害者の方と触れ合う機会は今までの人生でなかなか無かったため、どのように接すれば良いのか、どのようなことが良いこと、悪いことなのか分からない状態でのスタートでした。
実際に現場の話し合いで気が付いたことなのですが、このような選手にはこうやって対処する、といったマニュアルは一切なく、話し合いの中で最善の方法を探っていくような雰囲気でした。私も高校生の頃はバレーボール選手として試合に出場していましたが、マニュアルにそった対応がよく求められていた印象があります。
しかし、今回の大会ではマニュアル通りに進めることよりも、選手一人一人の個性や特徴を尊重して、柔軟に対応することの大切さを実感しました。
また、大人のスタッフの方々が待機中の選手にたくさん話しかけていて、その問いかけにきちんと対応してくれる選手の方もいればそうでない方もいて、それでも無理して答えさせるのではなく、優しく見守る姿が印象的でした。私自身も自ら声かけをすればよかったのですが、どのような声かけが適切なのか柔軟に対応できずに、直前に「頑張ってください」としか声をかけることができませんでした。私の今回の反省点でもあります。
今回得た学びをボランティア活動以外の場面でも生かしていけると良いなと思います。

参加学生の声(コミュニティ政策学科 1年)

健常者と障がい者の差異の小ささを感じた。
私には普段、障がい者の方とあまり関わる機会がない。今回の大会ボランティアに参加して、楽しんで参加している選手の姿や、選手選手同士で応援しあっている姿を見て、健常者となんら変わりはないのだと気づいた。
そもそも、健常者と障がい者を別と捉えること自体がおかしいとは思うが、今までは無意識にそういった考えを持っていた。特別な声かけや配慮が必要だという意識が強かったのだ。
しかし、今回のボランティアを通して、たしかに配慮は必要だけれども特別な扱いは要らないのだと気づいた。隔たりを作るのは意識の問題だと感じたので、今後は無意識の分類をなくして関わっていきたい。

参加学生の声(異文化コミュニケーション学科 1年)

「ハガー」

「ハガー」は、走競技の際にゴール付近で待機し、ゴール後の競技者を受け止め、表彰場所までの誘導を行う知的部門ならではの役割です。
選手自身がゴールしたことに気づかず、他の選手とぶつかって怪我をしてしまうことがあるため、安全管理においても重要な役割となっています。

担当した学生たちは、ゴール直後の選手と直接接し、結果・記録に対する感情(喜び・悔しさなど)や競技にかけている思いを感じ取ったようでした。
表彰場所まで誘導する道中では、選手がその時の率直な気持ちを吐露するような場面もあったようです。

また今回は、担当職員(責任者)の方が、「どの組のどのレーンのハガーを誰が担当するかを決めたり、進行を管理したりするポジション」を、昨年度もハガーを担当していた立教生(※1)に任せてくださり、その学生が立教生を含むハガー担当ボランティア全体のマネジメントを担当しました!

最初はあんまり活動内容がわからなかったので、少し不安だったのですが、活動経験者達に助けてもらい、スムーズに自分の役割を果しました。
本当に皆さんのおかげで、楽しく活動を参加することができました。

参加学生の声(数学科 2年)

走り終えてみんな疲れていたが、話しかけてくれる人や静かに過ごす人など様々で、人それぞれにあった対応が必要だと感じた。選手たちがリラックスできるような会話を心がけたいと思った。誰の付き添いをすれば良いか周りの人に助けて貰っていたので、自分も周りを助けられるくらい落ち着いて物事を見ていこうと思った。

参加学生の声(福祉学科 1年)

ボランティアは与えられた業務をこなすだけではなく、よりよい運営のために独自の工夫を行って良いのだと気づきました。
50m走で選手が1人の組がありました。 前後の組が5人程度で行われていて、寂しい感じがしたのでハガーのボランティアを2人配置しました。結果的に選手とハガー2人の3人で会話しながら表彰台へ誘導できたとハガーのボランティアから聞きました。
また、担当の方からも臨機応変な対応だと褒めていただきました。ボランティアは細分化された業務をこなすというイメージが強かったので、こういった対応を認めてもらえて良かったです。そして、こういった対応をするためにはハガーのような役割をするボランティアがいることが前提ですが、それにプラスして今日の僕が行った活動のようにボランティアが指示・まとめ役になれるような状態が重要だと感じました。

※1:参加学生の声(スポーツウエルネス学科 2年)

今回は知的障害者の方々の大会ボランティアだったが、選手それぞれが走り終わった後に素直に喜びを表現していた選手が多く、とても感動した。日常では障がい者が自分から行動しているところをあまり見ないため、彼らがどのような生活をしているかわからなかった。
しかし、今回の活動を通して、障がい者の方々が活躍しているのを見て、もっと世の中にもそのような場を作れたらいいなと言う考えが浮かんだ。ボランティア自体について学べることも多かったが、それ以上に今回は障害者の生き方について学ぶことが多かったと思う。

参加学生の声(交流文化学科 1年)

〜活動終了後の集合写真〜


■5月26日(日)の活動
〜知的部門②〜

「招集・誘導」

「招集・誘導」は、競技の開始時間ごとに招集を受けた選手をそれぞれの待機場所・競技場所まで誘導する役割です。

選手の誘導中

招集時には、各種目の組・レーンごとに選手がならべるように声をかけ、誘導時には同時並行で行われる競技の進行に支障が出ないよう安全面に気をつけながら、選手と競技場所まで移動しました。

本当にいろいろな考え、思いの方が参加していると思った。大会経験のために初めて参加した方から全国を見すえて入念な準備をして参加した方、大会新記録を更新した方までいた。
入場前、たくさん人に話しかける方も1人で集中力を高める方もいたけれど、どの方もある程度の緊張感は持っていて、全然違うバックグラウンド、レベルの方々が同一の大会に参加しているのが面白いと思った。
反省点は、あまり選手に話しかけたり、整列に手間取っている時に手を貸せなかったりしたことだ。緊張している選手に話しかけた方がいいのか、選手にどれくらい説明すればいいのか分からず、コミュニケーションのとり方が難しいと感じた。
ボランティア経験のある先輩が、選手に説明する時は、「あの人について行って」より「前の白いビブスの人について行って」のように具体的に話した方が伝わりやすいことを教えてくださった。

参加学生の声(社会学科 1年)

「ハガー」

担当した活動内容は、1日目と同様です。
この日も昨年度も参加していた学生(初日とは別の学生)が、ボランティアの配置やサポートを担当しました!

ゴール後に達成感に満ち溢れている選手の表情や、選手同士で励ましあっている姿などを見て、やはりスポーツは健常者障がい者関係なく素晴らしいものだと感じた。

参加学生の声(スポーツウエルネス学科 2年)

今回ハガーを担当して、実際に選手の人たちともコミュニケーションを取りました。特に印象的だったのが最後のリレーのアンカーの選手です。走る前に少し会話をしたのですが、注目されるので、「みんな見ないで欲しい」とおっしゃるくらい緊張していました。
しかし、いざトラックに立つと一生懸命に走っていました。私はその姿を見て心を打たれました。それだけ近くで選手と関わることができたのはとてもいい経験になりました。

参加学生の声(福祉学科 1年)

今回東京都障害者スポーツ大会の陸上競技にボランティアとして参加するのは2回目で前回とは違う係を担当したので、別の視点から新たな学びがあって面白かったです。
ボランティア同士でも協力して活動していくことや、手話や障がい者に対する介助などの専門知識を持った人がたくさんいることなど、実際に活動してみないとわからないことがあると思いました。
参加すればするほど新たな発見があるので、次回はどのような学びがあるのか楽しみです。

参加学生の声(コミュニティ政策学科 1年)

「閉会式の旗手」

開会式に続き、一部の学生が閉会式の旗手を担当しました!

〜活動終了後の集合写真〜


■6月3日(土)の活動
〜身体・精神部門〜

「招集・誘導」

基本的な役割は知的部門と同様ですが、身体部門では、使用する道具を含め競技スタイルがより多様になるため、それに合わせてサポートする必要があります。

選手の招集
選手の招集

肢体不自由者であれば、「車いす」「義足」「自作の投てき台」などを用いて競技を行いますし、視覚しょうがいのある方は伴走者とともに競技を行うことがあります。それぞれ独自の競技スタイルをもっていると言っても過言ではありません。

競技開始場所までの誘導
競技開始場所までの誘導

この役割を担当した立教生は、選手の身体的な特徴に配慮しながら選手の整列を補助したり、競技場所までの誘導をしたりしていました。

手話の練習中

聴覚しょうがいのある選手に対して声ではなく手話で応援や労いを伝えられるようにと、空いた時間に手話を調べていた学生がいたのですが、その手話が伝わったと喜んでいる姿も印象的でした。

ボランティア経験は何度かあったのですが、障害者に関するボランティアに参加するのは今回がはじめてでした。
今まで障害者の方と関わる機会が少なく、どうしても「障害者=生きづらさを抱えている」「障害者=どんなときも助けが必要」という勝手なイメージを持っていたからか、今日はじめて、こんなにも多くの障害者全員が''主役''として活躍している姿、なるべく介助者の力を借りずに自分の力でゴールに向かっていく姿、そして周りのみんなが全力で応援している姿を目の当たりにして、障害者がこんなに輝ける場所があることへの新しい気づきがありハッとしました。それと共に、自分がいつもどれだけ障害者に対してマイノリティであるという印象を持ちながら生きていたかをなんだか思い知らされた気がします。
むしろ今日私は一日中、自分自身がマイノリティの立場になった気がしました。自分以外の人が手話で話している際に、自分だけ手話が理解できず、その話の内容が全く理解出来なかったいう経験をしたことなどがそう感じた理由の1つです。このような感情はいつも障害者が感じている感情なのかもしれないと思うと、日々の自分の生活を見直すきっかけにもなりました。
また、聴覚障害の方に「頑張れ」という声援を送ったり拍手を送ったあとに、この音も全て聴こえていない可能性があると気づき、みんなで手話を使って応援したのですが、その時に応援ひとつ取ってもその方法は1つでは無いのだということを改めて実感しました。手話や表情や身振り手振りで嬉しさや悔しさを共有し合っている場面を今日たくさん見て、見た目で判断してはなからコミュニケーションを取ることを諦めることは絶対にしないようにしようと感じました。
そして何よりも、招集誘導という役割をさせていただいて、声だけの指示では伝わらないことがあることや、障害の種類によって歩くペースを変えること、自分から積極的に支援することが正解だとは言えないことなど本当に多くこことに気づけたし、最初に想像していたよりも課題が見つかりました。 今日のボランティアを通して、私たちにできることは障害者「を助けてあげる」のでなく、障害者「と共に生きていく」ことなのではないかと実感しました。

参加学生の声(福祉学科 2年)

実際に体験することの重要性をボランティアに参加する度により強く感じます。実際に当事者と接したり話したりしてはじめて生まれる感情があるからです。また、授業では理解が難しいことも、実際に体験することで腑に落ちる感覚を何度か体験し、実際に足を運ぶことで得ることが本当に多いと思えました。

参加学生の声(福祉学科 2年)

「表彰係」

競技を終えた選手(入賞者)に対する表彰を行うのが「表彰係」の役割です。

表彰時のアナウンス

表彰は競技・種目ごとに行われ、選手には表彰状やメダルが贈られます。今回立教生は、入賞した選手の名前や記録、順位などのアナウンス、メダルの準備などを担当しました。

表彰時のアナウンス

誰もが笑顔で本当にうれしそうにしていて、スポーツの楽しさや喜びは障害あるなしに関係ないと改めて感じた。

参加学生の声(文学科 フランス文学専修 3年)

小さなことであっても多くの人の支えがあってこそ成り立っているということを改めて実感しました。 障害者の方が表彰の際にとても喜んでいる姿を見て、私はそのような喜びを分かち合う瞬間に一緒にいることができてよかったです。

参加学生の声(文学科 英米文学専修 2年)

〜活動終了後の集合写真〜