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東京都障害者スポーツ大会「陸上競技」に、立教チームがボランティアとして参加しました!

東京都障害者スポーツ大会「陸上競技」の知的部門が5月27日(土)・28日(日)に、身体・精神部門が6月3日(土)に、駒沢オリンピック公園総合運動公園 陸上競技場及び補助競技場にて開催されました。

本学では、ボランティアコーディネーターが同行する「1dayボランティア」のプログラムとして同大会を支えるボランティアメンバーを募集し、当日は立教チームとして参加。
立教生は主に、「開会式の旗手」「ハガー」「表彰」「選手の招集・誘導」などの役割を担当し、選手や競技・大会運営のサポートを行いました。

記事のボリュームが多くなってしまいましたが、当日の写真や参加学生の声をたくさん掲載していますので、ぜひ最後までご覧ください!

東京都障害者スポーツ大会について

「東京都障害者スポーツ大会」は、1951年から行われてきた「東京都身体障害者スポーツ大会」と、1984年から行われてきた「東京都知的障害者スポーツ大会(東京ゆうあいピック)」が平成12年に統合したことにより誕生しました。
2006年度からは、一部の個人競技種目に精神部門を設けられ、「身体」「知的」「精神」の三障害を統合した都内最大規模の障害者スポーツ大会となっています。

また、この大会は国体の後に開催される「全国障害者スポーツ大会」の派遣選手選考会を兼ねており、全国大会を目指して競技に取り組んでいる選手も多数参加しています。

立教生の活動(当日の様子)

■5月27日(土)の活動
〜知的部門〜

「開会式の旗手」

ボランティア・スタッフを含む全員が集まって開かれる開会式では、聖火台への点火や準備運動なども行われます。
その中で、立教生は「旗手」を担当させていただきました。揺れる旗とともに立教ビブスを来た立教生が並んでいる様子がとても目立っていました。

「ハガー」

「ハガー」は、走競技の際にゴール付近で待機し、ゴール後の競技者を受け止め、表彰場所までの誘導を行う知的部門ならではの役割です。
選手自身がゴールしたことに気づかず、他の選手とぶつかって怪我をしてしまうことがあるため、安全管理においても重要な役割となっています。

また、ゴールした後の選手が一番最初に接するのがこのハガーを担当する人たちです。だからこそ、競技に臨む選手の感情(喜び・悔しさなど)も直接感じることができます。

今回は多くの立教生が「ハガー」を担当したのですが、単に選手を所定の位置に誘導するだけでなく、「おめでとうございます!」「お疲れ様でした!」などの声かけをしている様子が印象的でした。
表彰後にわざわざメダルを見せに来てくれる選手もおり、ボランティアと選手という関係性ながらも、喜びや悔しさなどの「感情」を共有する場面が多くあったように感じます。

今まで知的しょうがい者の方と関わる機会が無く、わからないことが多い、または間接的に得た情報しか持っておらず少し怖いイメージを抱いていた。
しかし今回、ハガーの役割を通して知的しょうがい者の方との会話を通して怖さがなくなった。声を掛けたら笑顔で受け答えをしてくれて、嬉しい場面が何度かあった。

参加学生の声(観光学部 交流文化学科 2年)

知的しょうがいのある方々が純粋に陸上競技を楽しんでいるということが印象的でした。ボランティアに参加するまでやハガーの役割を聞いた時は選手の方々とコミュニケーションをうまく取れず誘導などをスムーズにできないのではないかと不安が多くありました。
しかし、走り終えた選手に「お疲れ様です」と声をかけると「疲れた」「悔しい」と素直な感想を返してくれたり、応援に応えるように穏やかな表情を見せてくれたりと陸上競技をスポーツとして楽しんでいることがとても分かりました。
どうしても「しょうがい者スポーツ」と聞くと大会運営や選手とのコミュニケーションの難しさが真っ先に思い浮かびネガティブに捉えがちですが、そんなことはほぼなく、そう思う暇もないくらいに楽しく大会のサポートができて貴重な時間になりました。

参加学生の声(コミュニティ福祉学部 福祉学科 1年)

「表彰」

「表彰」は、競技が終わった選手(入賞者)を表彰台まで案内する役割です。入賞者には、競技・種目ごとに表彰状やメダルが贈られるのですが、その表彰の時間を待機している時のサポートや表彰の場所までの誘導などを立教生が行いました。

入賞といえど、その全てが選手にとって喜ばしいものとは限りません。目標にしていたところに届かなかった選手も多く、喜び以上に悔しさを感じる選手もいます。
そのような中で、ボランティアはどのような関わりをすれば良いのでしょうか?

この役割を担当した立教生は、活動の中で上記のような問いに悩みながら、自分なりに試行錯誤していたようでした。

選手は1位でも2位でも3位でも心から喜んで、それをstaffみんなでさらに盛り上げるような雰囲気がとても素敵だと率直に思いました。
私が感じたことは、その人の個性によって接し方を変えていく必要性です。
賞を取れて目に見える形で喜んでいる選手にはボランティアも同じテンションで褒めるのがいいけれど、拍手喝采で逆に気まずそうにしている方も正直いたので、やっぱりそこは配慮するのがベストだなと思いました。

参加学生の声(コミュニティ福祉学部 コミュニティ政策学科 1年)

■5月28日(日)の活動
〜知的部門〜

「選手の招集・誘導」

選手は決められた時間に招集場所に集まり、競技の開始位置まで移動するのですが、トラックだけでも「30m」「50m」「100m」「200m」「800m」「1500m」「スラローム」と多くの種目があり、さらにフィールドの跳躍、投てきと同時並行で複数の種目が行われます。そのため、自分がどこにいれば良いのかが分からなくなる選手も多くいます。

「選手の招集・誘導」を担当するボランティアは、選手がそれぞれの競技に問題なく臨めるように、招集場所に集まった選手のゼッケン番号を確認して、レーンごとに整列できるようにサポートしたり、競技開始場所まで誘導したりしました。

知的しょうがいのある方と一対一で接するのは初めてで、どのようにコミュニケーションを取れば良いのか手探りの状態でした。

私は、招集を受けた選手をそれぞれの待機場所まで誘導する、という役割で、初めは「こんな感じでいいのかな」と不安がありました。
しかし一緒に活動するボランティアやスタッフの方の姿を見ながら、ハキハキと声を出したり、身振りを大きく使って誘導する場所を明確に示したりと、自信をもてるようになっていきました。

また、誘導した際、選手に「ありがとうございます」という言葉をかけてもらい、嬉しい気持ちと、さらに選手たちが活躍できる環境を支えたいという気持ちになりました。しょうがいのある方々がスポーツを楽しみ、活躍する姿を見て、ほんの一歩当事者の方々の理解に繋がったと思います。

参加学生の声(文学部 史学科 3年)

今回の活動を通し、まずしょうがい者と健常者の線引きを日常の中で、し過ぎているように感じました。参加者の方々がスポーツを楽しみ、全力で競技を挑む姿勢は健常者と何ひとつ変わりませんでした。

また、しょうがいのある方を「しょうがい者」として一括りにしてはいけないことに気づきました。選手の中には、積極的に話しかけてくれる方もいらっしゃれば、そうでない方もいらっしゃいました。活発な方もいれば穏やかな方もいました。
一人ひとりそれぞれの個性を持っているので、しょうがいがあるからこうした方がいい、こうするべきだ、と決めつけるのではなく、一個人として柔軟に関わっていくべきだと思いました。

参加学生の声(法学部 国際ビジネス法学科 1年)

「出発係」

「出発係」は、競技開始場所に到着した選手をそれぞれが出発するレーンに誘導したうえで、スタートラインの位置や合図などについて、説明を行う役割です。
スタート方法がそれぞれ微妙に異なるため、一人ひとりに合わせた声掛けが必要となります。

競技開始直前の最も緊張感が高まるポジションでの活動になるため、意思疎通も簡単ではありません。フライングなどによる仕切り直しが続くと、よりその緊張感は高まりますが、立教生は言葉だけでなく、身振り手振りで試行錯誤しながら選手とコミュニケーションをとっていました。

出発係で、選手に声をかけていいのか、どう声をかけたら気持ちよく送り出せるのか考えてしまい、何も話せない時もありました。
でも、「スタートの位置大丈夫ですか?」とか「緊張してますか?」と聞いた時には、「社会人なのであまり練習できてないけどさっき確認しました」「4年ぶりの出場で緊張してます」「笑顔が1番」などの答えが返ってきて、素直な気持ちが素敵だなと思いました。

また、ある選手で、レーンの番号を伝えただけでその番号が嬉しいと言っていたり、何を聞いても大丈夫!大丈夫!と明るく答えていた方がいて、そんな明るい考え方がとても印象に残り、自分もまねしたいなと思いました。
難しかったところは、スタートの位置と名前が呼ばれる時に立つ位置が違って、それを言葉で説明することです。自分が選手の側にいる時は間違っていることを直せることもあったけれど、自分が選手から離れた後は言葉でしか伝えられないので、そこは特に難しかったです。
しかし、先ほど「物事を理解するためには、言葉で聞くことと目で見て理解する方法がある」と聞いて、手で位置を示すなど視覚的な動きで伝えれば分かりやすく伝えられることを知ったので、今後実践してみたいです!

自分の担当のレーンの選手が一位になったり、選手同士が応援や励ましあっているところをみた時はとても嬉しかったし、仲間っていいなと思いました。

参加学生の声(社会学部 現代文化学科 1年)

これまで知的しょうがいのある方と直接お話しする機会がなかった為、最初はきちんとコミュニケーションが取れるか不安だったのですが、目線を合わせたり、ジェスチャーを使ったりと工夫をすることで、自分が伝えたいことをきちんと伝えることができ、嬉しかったです。
知的しょうがいのある方といっても、一括りには到底できないぐらいに、さまざまな方がいらっしゃるということがよく分かりました。

出発係として、出場した選手の方々と直接関わる機会が多くあり、また言葉をいくつか交わした中で、言葉で意思疎通を図るのがあまり得意でない方という私の勝手な思い込みに当てはまる方ばかりでは決してなく、私たちボランティアや他の参加者の方々に常に声をかけていた方もいれば、最初にお会いした雰囲気は(恐らく緊張のせいだと思いますが)少し気難しそうに感じても、実際にお話ししてみると、照れながらもとても素直そうに話してくださる方、(出走の合図に用いる)ピストルといった特定の何かに強く興味を示す方であったり、もし街中でお会いしたとしたら、しょうがいがあることには気づかないであろう方など、本当に多様な方がいらっしゃいました。

もちろん、それぞれの方やその周囲の方々の中には、私には想像もできない大変さや苦労があるとは思いますが、出発係として関わった短い時間の中では、私たち一人ひとりがそれぞれもつ個性の一つと何ら変わりない、一種の特性に過ぎないのではないかと感じられるほどでした。

参加学生の声(法学部 政治学科 4年)

■6月3日(土)の活動
〜身体・精神部門〜

「選手の招集・誘導」

「選手の招集・誘導」は、知的部門と同様に、競技の開始時間ごとに招集を受けた選手をそれぞれの待機場所・競技場所まで誘導する役割ですが、特に身体部門では、競技スタイルが多様なため、それに合わせてサポートする必要があります。

例えば、肢体不自由者であれば、「車いす」「義足」「自作の投てき台」などを用いて競技を行いますし、視覚しょうがいのある方は伴走者とともに競技を行うことがあります。それぞれ独自の競技スタイルをもっていると言っても過言ではありません。

この役割を担当した立教生は、選手の身体的な特徴に配慮しながら選手の整列を補助したり、競技場所までの誘導をしたりしていました。

それぞれの選手が抱えているしょうがいを理解してそれにあったサポートをする難しさを知りました。
選手が補聴器や義手、義足、車いすを使用しているので、どこにしょうがいを抱えているかはすぐに分かったのですが、僕が普段感じている感覚とは全く違うため、どのような不便さがあるのかは分かりませんでした。
例えば、電動車いすを使用している選手を招集場所や競技場所に誘導する時に、左右どちらに曲がるかを早めに教えてほしいと指摘され、自分がどちらか言えば選手はすぐに曲がれると思い込んでいることに気づかされました。

参加学生の声(コミュニティ福祉学部 福祉学科 1年)

ビーンバック投げや音源走など、そもそも存在を知らない競技が多くて驚きました。
また、各競技が障害の重さなどによって細かく区分されており公平性が考えられているなと感じました。もともと知り合いな人達も多いようでしたが、そうでなくても競技が終わると拍手が起こったり、お疲れ様と声を掛け合ったりしている姿が印象的でした。
音源走では、スタッフによるたくさんの協力が必要であったとしても、伴走者を付けるのではなく、しょうがいのある選手が1人で走れるようにサポートしているというのが、凄くいいなと感じました。

参加学生の声(社会学部 社会学科 2年)

「競技補助員(ソフトボール投げ)」

「ソフトボール投げ」の競技補助員は、補助競技場で「ソフトボール投げ」の競技運営のサポートを行います。

この役割を担当した立教生は、選手の招集・誘導から、投げる前のボールのメンテナンス(拭いて滑り止めの粉をつけて選手に渡すなど)、投擲後のボール拾いなど、様々な場面で活躍していました。

視覚しょうがいのある方にボールを渡すときは、声をかけてから手をもって渡してあげて、ちゃんと持っているのを確認してから離れるといった流れで行った。しょうがいの種類やその重さによって必要な接し方が変わるということを頭ではわかっていたが、実際にやってみると難しかった。
車いすの操作も難しかったがいい体験になった。

参加学生の声(スポーツウエルネス学部 スポーツウエルネス学科 1年)

視覚しょうがいのある選手が競技を始めるときにブザー音を鳴らすのは、いつ投げるかのタイミングを把握できるからだと知り、大会ならではの発見だった。
また、施設の支援員の方々が視覚しょうがいのある選手にビニールテープが貼ってあるスタート位置を指で触らさせていて、失った視覚での気づきを補うために感触がとても重要になることに気づいた。

参加学生の声(コミュニティ福祉学部 福祉学科 1年)

最後に

今回は、「ボランティア活動初参加!」という学生が大半でしたが、どの学生も自信をもって活動していました。
もちろん試行錯誤する場面も多くありましたが、それはボランティアだけでなくスタッフも同様です。
むしろボランティアだからこそ感じることや学生の視点から気づいたことなどを主催団体のスタッフに伝えることで改善された部分もありました。

立教大学ボランティアセンターで実施している「1dayボランティア」のプログラムでは、1日と言えど、受け身で参加する「体験」ではなく、想いをもってそこに集う人と創り上げる「活動」の機会を提供しています。

そこで感じた喜びや悔しさ、気づき、学びは、全て”自ら動くこと”によって得たものであることは、ここで取り上げた学生の声からも伝わってくるはずです。
自ら一歩踏み出したい立教生は、ぜひ次回の「1dayボランティア」にご参加ください!皆さんと一緒に活動できることを楽しみにしています。