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「3.11ユースダイアログ〜若者の言葉から東日本大震災のことを知ろう、語ろう〜」を開催しました!

12月4日(日)に、立教大学池袋キャンパス太刀川記念館(東京会場)と日本福祉大学(愛知会場)、大阪ボランティア協会(大阪会場)をオンラインでつないで「3.11ユースダイアログ〜若者の言葉から東日本大震災のことを知ろう、語ろう〜」を開催しました。

若者の声を未来につなぐ『3.11ユースダイアログ』

東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)が2019年から実施している『3.11ユースダイアログ』は、震災当時小中高生だった若者が「当時の出来事やその時感じていたこと」「現在に至るまでにどのような思いで人生を送ってきたのか」などを同世代の若者に伝えていくことで、東日本大震災の記憶や教訓などを次の世代や次の災害に繋げていく取組です。

今年度、立教大学ボランティアセンターでは、東日本大震災の復興支援に携わってきた学生サークル「立教Frontiers」のメンバー2名とともに「3.11ユースダイアログ実行委員会」に参画し、JCNの岩手・宮城・福島の現地スタッフや東海・関西で震災支援に取り組む大学・団体などとともに、震災当時子どもだった世代の「語りの場」をつくる準備をしてきました。

東京・愛知・大阪の各会場とオンラインでつなぐ

これまで大学の授業などで行われることが多かった「3.11ユースダイアログ」ですが、今回は全国版ということで、東京会場(立教大学 池袋キャンパス)、愛知会場(日本福祉大学 東海キャンパス)、大阪会場(大阪ボランティア協会)の各会場を拠点としながらも、それぞれをオンラインで結んで同時開催しました。

第1部:ゲストスピーカーのお話

第1部では、各会場の登壇者のお話を順番にお聞きし、全体で共有しながら進めました。

東京会場で登壇された川田 季代(かわた きよ)さんは、福島県南相馬市小高区出身で、震災時は小学5年生でした。震災後は原発事故の被害が残る福島県を離れ、千葉県や東京都、宮城県等で避難生活を送り、新潟の大学を卒業した現在は、地元である小高区のデザイン事務所でアシスタントデザイナーとして働いています。

今回のように多くの人の前で自分の経験を語る機会は初めてに近く、最初はとても緊張されていましたが、聞き手を務めた立教Frontiersの学生の問いかけに答えながら、震災による環境の変化を子どもとしてどのように受け止め、何を感じていたのかを丁寧に話してくれました。

震災後に転校した千葉県の学校では、周りの子どもとの距離感に悩んだそうです。「震災によるいじめ」のようなものは特になく、自分が被災者であるということに対して、周りの子どもたちが常に気を遣ってくれていたと話していました。
しかし、その気遣いがむしろ「震災から逃れられない、常に震災と自分がつながっている日常」をつくってしまいました。
震災被害が残る地元から逃れてきた新しい場所で求めていたのが「震災と離れた日常」だっただけに、転校先ではとても辛い時間を過ごすことになってしまったそうです。

他会場から「ペットとの別れ」についての質問があった際には、涙を堪えながら、「震災直後は自分たちの避難を優先しなければならず、ペットは逃がすしかなかった。その後に他の人に引き取れられて再会することができたものもいたが、それっきり会えなくなったものもいた。当時はどうしようもなかったが、今でもそこで逃してしまったことを後悔している」と話していました。

周りの大人の選択に従う場面が多い「子ども」だからこそ、自分ではどうすることもできなかったという場面をたくさん経験し、その分、多くの後悔が残っていくのかもしれません。

左:登壇者の川田季代さん、右:聞き手を務めた立教Frontiersの学生

第2部:自分の体験を重ねる

会場ごとに実施した第2部ですが、東京会場では5〜6人のグループに分かれて、「登壇者の話を聞いた感想」を共有しました。各グループには、順番に川田さんに入っていただき、そこで質問にも答えていただきました。

さらに、各グループでは、「震災当時のこと」「震災から今までのこと」「これからのこと」を軸に、参加者それぞれの経験も語りました。

震災当時、その影響を感じていた人もいれば、現在仕事を通して災害に向き合っている方もおり、その経験は様々で一人ひとり違います。
全体で共有された話にも出てきましたが、震災の被害は大小で比べられるものではないからこそ、それぞれの経験を聞き、自分の経験と重ね合わせることで少しずつ「3.11」が自分事になっていたようでした。

「3.11ユースダイアログ」を終えて

まもなく東日本大震災から12年目を迎えますが、「今だから話せること」があり、それは当時子どもだった世代にとって「3.11」と自分をつなぐきっかけになるのかもしれません。
今回は立教生だけでなく、東京都立大学や中央大学で震災支援に取り組む学生の参加もあり、新たなつながりも生まれていました。

それぞれが自分の経験を語れるような対話の場を通して、多様な人がつながれる機会を今後もつくっていきたいと思います。


〜東京会場の参加者からの感想(一部)〜

  • 今までは、比較的年齢層が高い方の経験談ばかりを伺っていたので、自分と同世代の方のお話を聞けて、新たな視点から震災と向き合うことができて良かった

  • 私も家族同然の犬と暮らしているので、ペットとのお別れのお話がかなりショックでした。ペットとの避難について考えさせられました

  • 生の声はやっぱり心にのこる

  • 学生だけじゃなくて社会人の方との意見交換は新鮮でした

  • 今までになかった視点で考えることができるようになり、とても有意義な時間だった。これからのボランティア活動につながるといいなと思った

  • 正直私は日曜日の午後の暇つぶしくらいの感覚で参加したのですが、皆さん震災と繋がりのある人達ばかりで、普段何も行動しなければ耳にすることすら無かったであろう話を聞けてすごく有意義な時間になったと思う

東京会場の運営メンバー