映像の月/11月

なんだかんだで続いているシリーズ。今月もちょこちょこ鑑賞した作品を書き連ねる。

前回記事はこちらから。

名探偵ピカチュウ

しわしわなピカチュウが一躍有名となった本作。公開時期に映画館に行けなかったのだが、いつの間にか観放題作品に追加されていた。時の流れは速い。
ちなみにしわしわピカチュウが登場するシーンでは彼は落ち込みながらある曲を口ずさんでいるのだが、英語版においてはアニメ「ポケットモンスター」の初代主題歌だったりする。

あらすじは公式より引用。

かつてポケモンのことが大好きな少年だったティム(ジャスティス・スミス)は、ポケモンに関わる事件の捜査へ向かったきり、家に戻らなかった父親・ハリーとポケモンを、遠ざけるようになってしまった。それから年月が経ち、大人になったティムのもとにある日、ハリーと同僚だったというヨシダ警部補(渡辺謙)から電話がかかってくる。「お父さんが事故で亡くなった―」。複雑な思いを胸に残したまま、ティムは人間とポケモンが共存する街・ライムシティへと向かう。荷物を整理するため、ハリーの部屋へと向かったティムが出会ったのは、自分にしか聞こえない人間の言葉を話す、名探偵ピカチュウ(ライアン・レイノルズ)だった。かつてハリーの相棒だったという名探偵ピカチュウは、事故の衝撃で記憶を失っていたが、一つだけ確信をもっていることがあった……。「ハリーはまだ生きている」。ハリーは何故、姿を消したのか? ライムシティで起こる事件の謎とは? ふたりの新コンビが今、大事件に立ち向かう!

本作では「ポケモンと人間の共生」が大きなテーマとして挙げられる。原作ゲームや従来のアニメ作品において、(他の側面の描写もあれど)ポケモンは「トレーナーと一緒に戦う仲間」という存在として描かれることが多かった。一方、本作は主人公がポケモントレーナーでないこと、舞台が「ポケモンとの共生を掲げバトルが禁止された街」ということがあり、よりポケモンの性質の包含された生活が描写されている。
今までにないテーマでの描かれ方がなされたこと、そして公開から数カ月後に発売された新作「ポケットモンスター ソード/シールド」においてフィールド上に生息するポケモンが表現されたことで「人間と共に生きるポケモン」という世界観が確立された。インターネットにおいては#ポケモンのいる生活というタグによってその様子を垣間見ることができる。

長くなってしまったが、バトルを介さないポケモンの在り方を描いた本作はある種のターニングポイントであると言えよう。ストーリーにおいて登場するポケモンは必ずしも有名な/人気のあるポケモンばかりではなく、その特徴をしっかりと汲んだ配置となっていることが伺える。本筋のミステリー部分についても「ポケットモンスター」を素材とする意義を感じさせる仕上がりとなっており、総じて満足度の高い一作であった。



ピクセル

公開当時にスクリーンで鑑賞し、久しぶりに観たくなった一作。

あらすじは例によってこちらから引用。

1982年、NASAが宇宙に向けて「友好」のメッセージを発信した。2015年、しかし、そのメッセージは大きな誤解を招き、我々人類に襲い掛かる。ヤツらはゲームキャラに姿を変え、地球を侵略し始めたのだ!グアムの空軍基地を襲う「ギャラガ」インドのタージ・マハルを崩す「アルカノイド」ロンドンの空を覆いつくす「センチピード」NYの街を食べ尽くす「パックマン」、ワシントンDCに現れた巨大母船からは、「スペースインベーダー」をはじめとする大量のゲームキャラが…さらには「ドンキーコング」まで!?全てをピクセル化させる攻撃を受け、ピコピコ崩壊する世界…。この最大の危機を乗り越える為の秘策は、1982年当時のビデオゲームのチャンピオン達を集め、ヤツらに対抗することだった。見た目は残念な元オタク達をアーケーダーズとして組織し、米国陸軍中佐の指揮の下、ゲームキャラに戦いに挑むのだが…!ゲームオタク vs 80年代ゲームキャラ、今「決戦」がスタートする!

つまるところ、1980年代レトロゲームのキャラクターの姿を模した宇宙人の侵略攻撃に当時ゲームオタクだったオジサンたちが立ち向かう、という筋書きである。

本作の魅力はやはり様々なゲームキャラクターの共演だろう。一枚絵にもなっているパックマンやラスボスのドンキーコングを筆頭に、レトロゲームのキャラクターがふんだんに登場する。筆者もすべてのキャラクターを把握しているわけではなかったが、終盤のオールスター総進撃シーンにはやはえい心が躍った。

本作は2015年に公開されたものだが、このようなクロスオーバー要素を含む作品が2010年代には多く公開された。ゲーム/アニメキャラクターの系譜だとシュガーラッシュ(2013年)→ピクセル(2015年)→レディ・プレイヤー1(2018年)→シュガーラッシュ:オンライン(2018年)という流れができており、他にも「アベンジャーズ」シリーズや「DCエクステンデッド・ユニバース」シリーズが断続的に公開された。オールスター性の強い作品群はたくさんのファンを掴める算段が取りやすく(もちろん世界観のコンフリクトによるシナリオ破綻のリスクはあるが)制作側から好まれるのだろうと思いつつ、一方で従来とは一線を画すようなキラーキャラクターを生み出すのが難しいのではないかと感じざるをえない。キャラクターが飽和する難儀な時代だなと思わされた。




ランペイジ 巨獣大乱闘

動物巨大化系のパニックもの。つまるところB級映画である。

例によってあらすじ。正直あってもなくてもさほど関係ない。

こいつら、いったいどこまでデカくなるのか!?
地上最強の巨獣たちが、すべてを破壊しながら北米大陸を横断!!
それは人類の誰も気づかぬうちに始まった。
最新を誇る遺伝子実験の失敗によって、なんと普通の動物たちが突如進化し始める!
ゴリラ、オオカミ、ワニなどが猛烈に巨大化し、凶暴化してしまう。
ヤツらの成長はとどまることを知らず、もはやクソデカい巨獣と化し、陸・海・空おかまいなしに街で破壊の限りを尽くす大乱闘をおっぱじめる!
シカゴを舞台に、巨獣たちの暴れる理由は一体なんなのか?
生物ピラミッドが一夜にしてひっくり返った人間たちに、巨獣たちの大乱闘を止めることができるのか?

本作の最大の特徴は巨大化に加え動物がキメラ化するところだろう。本作における巨大化の原因は遺伝子操作だが、これはサメの持つ成長が止まらない遺伝子を組み込まれたことが要因である。この遺伝子操作の際に他の動物の遺伝子も組み込まれた結果、ワニが鰓呼吸できるようになったり狼が滑空できるようになるなどの驚異的な変化を遂げている。このあたりの無茶苦茶な構成がなるほどB級であり魅力であろう。

この手の作品はとにかく映像の迫力が一番大事だと考えているため、その観点での本作は周囲に勧めたい一作だと言えよう。正直書くことがほとんど浮かばなかった。



――

ひたすらにSF的な作品を摂取し続けた一カ月だった。色々なジャンルの作品を巡回した前回とは大きく方針転換した形となる。前回途中だった作品の進捗はよろしくない。頑張ってモチベーションを上げよう、と考えている時点でなかなかに厳しいものがある。

年内にもう一本書けたらいいなと思いつつ、ストックを出し尽くしてしまったため本当にどうなるのか予想がつかない。我ながら次回が楽しみである。

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