TOO MUCH IMFORMATION MAGAZINE『T.M.I』ついに発売!!!!!!!!!!
昨年夏より制作を開始し、『秋頃に出るぜ』、『今年中には出すよ』、『三月には出せそうです』、『桜が色づく頃には出るんじゃないかと風の噂で小耳に挟んではおりますが未だ推測の域を出ておりません』と往年のドラクエばりに延期に延期を重ねてきたワタクシの小雑誌『T.M.I』でございますが、大変長らくお待たせいたしました。
ついに発売します。
マジで発売します。
本気で発売します。
ガチでリアルに天地神妙にかけて発売します。
なぜこれほどまでに遅延したのかと申しますと、贈収賄の嫌疑をかけられて長らく留置場にいたとか、火鼠の皮衣を探して遠い地に旅立っていたとか、片眉を剃り落として山にこもりソプラノサックスの練習に励んでいたとか、錬金術を習得するべくハンガリーで修行を積んでいたとかそういったことは一切なく、なんか、普通に時間がかかりました。とくに具体的な理由もなく単純にいろいろ時間がかかって遅れました。
英語でいうとノー・リーズンです。
世の中にはそういうことがあるんです。
本作るのってマジで超大変なんですね。ジャンプとかサンデーとかマガジンとかあんなに厚みがあるのに毎週必ず出ているのだからぼくはほんとうにすごいなあーとおもいました(小学生の作文風)。
まあまあまあ、『は? 小雑誌? そんなん全然知らねーし! そもそもお前のこと自体知らねーし! ていうかよくよく考えてみたら自分が誰なのかも知らねーし! 私は一体誰?』という深刻なアイデンティティ・クライシスに陥っていらっしゃる方もいると思いますので、そーゆー方にはひとまずかかりつけの精神科医に駆け込んでいただくといたしましてですな、簡単にご説明しますとこの小雑誌、ワタクシ山塚リキマルが全テキストを単独執筆したシロモンでごぜーます。
小説、エッセイ、コラム、レヴューガイド、ポエムなど多岐にわたるアレやコレの文章を惜しげもなく開陳してありまして、総文字数はなんと11万字超、全108ページ。
活字ばかりでなくカラーグラヴィアや読み切りマンガ、挿絵や写真なども豊富に挿し込まれておりまして、才能に溢れたクリエイターたちとのコラボレートもお楽しみいただけるファンタスティックな一冊です。
どこをとっても自信作でありますが、白眉はやはりワタクシが所属するヒップホップクルー『中華一番』の総力特集記事でありまして、なんと20ページもの紙面を割いています。特集しすぎです。総力を発揮するにも限度があります。札幌を代表するならず者たちの栄光の足跡を丹念に活写しておりますので、我ながら実に読み応えのある記事に仕上がりました。
なお『T.M.I』というタイトルは、Too Much Informationの頭文字をとったものですが、これはアメリカでは『聞きたくない、やめて!』というような意味もある一方、韓国では『今朝パン食ったら美味かった』というような、非常にどうでもいい情報をさすスラングでもあります。
まぁ長々と説明してもシャーガネーんでまとめに入りますが、この小雑誌のテーマは『面白い』です。
『面白いというのはとても大事なことだ』とはジェリー・ガルシアの言葉ですが、『面白い』とひとくちにいっても色々なモノがありますよね。
笑える、泣ける、タメになる、心に残る、これらはすべて『面白い』という広大な領域の一ジャンルにすぎません。
ワタクシは30歳になるまで熊に年2ペースで遭遇するような北海道の山奥で農家をやっておりましたので、政治的陰謀や銃撃戦、インゴット状のコカインがうず高く積まれた乱行ドラッグパーティーなどにも無縁な、はたから見たら平々凡々の人生を送ってきましたが、しかしワタクシは一秒たりとも退屈することはありませんでした。
自分の『面白い』という感覚に忠実に、ひたすらそれを追い求め続けてきたからです。自分でいうのもナンですが、ワタクシは結構面白がりなタチで、いろんなジャンルの『面白い』を吸収しながら生きてきました。
精神分析学も量子力学も面白い、70年代東映ヤクザ映画もエリック・ロメールも面白い、中南米マジックリアリズム文学もハヤカワSF文庫も面白い、アイドルマスターもウマ娘も面白い、ロックンロールもブラックミュージックも面白い、ひばり書房のホラーマンガもBLも面白い、モダンアートもアウトサイダーアートも面白い、立川談志もハリウッドザコシショウも面白い、もうとにかく節操なく、『面白い』と思うモンをひたすら掘り下げてきました。
そうして三十年余にわたってかき集めた、ありとあらゆる『面白い』のエッセンスがこの一冊にしたためてあります。
ワタクシは誰よりも無駄な時間を送ってきた自信があります。
同世代の人間が山へ海へ街へと繰り出して甘酸っぱい恋模様を描く最中、ワタクシはひとりで部屋にこもってアルバート・アイラーを聴きながら『苺ましまろ』を読んでいました。
同世代の人間が額に汗して一生懸命労働に勤しんでいる最中、ワタクシはやっぱりひとりで部屋にこもって電気グルーヴのオールナイトニッポンを聴きながら牛腸茂雄の写真集を眺めて悶絶していました。
誰よりもずっとひとりでいたし、部屋にいました。
それでもいつも気分はハッピーで、ステイ・ホームというよりはイン・ダ・ハウスって感じのテンションでした。
トマス・ウルフが『天使よ、故郷を見よ』の巻頭で読者にあてた短いメモにある通り、ワタクシたちの人生はあらゆる瞬間の積み重ねであり、物書きは皆、己の人生経験をもとに文章を綴ります。
ワタクシは功も遂げず名も成さず、人生の大部分をムダな時間に費やしてきましたが、しかしながら、ワタクシの主観でいえばそれなりにドラマチックだったのです。
心が傷つくように感動する奇跡的瞬間に幾度となく出くわしてきたのです。
本書ではそうした奇跡的瞬間を、手を変え品を変えマジマジのマジで書きました。
笑って読んでいただければ幸いです。
もし、それが嘲笑であったとしても。
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