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挫・人間『このままでいたい』によせて

陰キャのオタク君(歳の離れた妹がいる)が、ひょんなことから特撮とゲーム好きなギャルと仲良くなり、一緒にバンドをやることに!?

と書くと一昔まえのラノベのあらすじのようですが、どっこいこれは現実でありまして、挫・人間という実在するロックバンドのことなのです。事実は小説より木梨憲武(おもしれ~・笑)といいますが、けっきょく人間が想像するようなことはすべて現実に起き得るんですよね。だから狐娘も魔法少女もメイド型アンドロイドもいるし、おれのことを“少年”って呼ぶ気さくだけどミステリアスな黒髪ロングのお姉さん(実は暗い過去有り)も絶対に存在してるんですよ。絶対。

話が少々スリップしましたけれども、挫・人間やばいっすよね。活動状況が。

紆余曲折、いや紆余紆余紆余曲折を経て、三人体制でガンバってきた挫・人間から装いも新たにギタリストの夏目氏が脱退ですよ。仲間が次々に減っていくという逆ワンピース現象によって、ついに挫・人間はヴォーカルとベースというドリカム編成、もしくは黒夢編成になってしまったんですよ。ちなみに清春は『俺たちはユニットじゃない。人数が何人だろうと俺たちはあくまでもバンド』って主張してるらしいですよ。かっこいいなあ清春。ピアニッシモ吸ってるだけのことはある。

まあ、どうすんの? って話ですよね。こないだベースの声児に『どうすんの?』って聞いたら『知らん!』って声高らかに即答されたんで、GLAYのHISASHIがヘッドハンティングされるとかリンゴ・スター電撃加入とか、そういう熱いサプライズ展開はどうやら無さそうな感じです。

とにかくそんな彼らの三人体制最後のシングル『このままでいたい』が先日ドロップされました。

リード曲の“このままでいたい”は、スピッツ顔負けの胸キュンギターロック。
下川君のピーターパン・ヴォイスに、歌心満点のニクいベースラインが寄り添い、適度に歪んだギター・ソロがこれまた郷愁をさそいます。60s風味のオールディーズなアレンジもナイス。
“このままでいたい”ってすごいですよね。ロックって“今夜しでかそうぜ!”とか“この街を出ていこう!”とか、変革を促すことでおなじみじゃないっすかあ。でも彼らは“このままでいたい”というワケですよね。それも“このままでいたいと あなたに思っていてほしい”というワケですよ。せつねー。真夜中に金平糖をちまちまとつまむようなsentimental。

つづく“人類終了のお知らせ”は、スラップベースが炸裂するダンスナンバー。
ダンサブルなサウンドに、彼らお得意の呪詛と妄言と逆ギレが過積載された、ダウナーとアッパーをMIXしたアブないスピード・ボールでありまーす。
ちなみに“人類終了のお知らせ”とはpixivで使われるタグで、一目でムリポなつよつよクリーチャーのイラストとかに付けられたりするのですが、『殺される!』という絶望と『こいつになら殺されてもいいかも…』というファンシーな想いが共存するアンビヴァレンスな意味がこめられています。
あと布施明の『薔薇は君より美しい』のパロディがありますが、全盛期の布施が“変わった~~~”のロングトーンのラストで“アアアッ!”って音が上がっていたところまでしっかり再現している、愛のあるパロディですね。ちなみに最近の布施はついに普通に下がるようになったらしい。
こーゆー曲を聴くと実はハイスキルなバンドであることを改めて実感します。

ラストの“B・S・S~ボクが先に好きだったのに~”は、もう説明不要というか解説不可ですね!
UNISON SQUARE GARDENとかを彷彿とさせる、10年前ぐらいに超流行ってた地熱低い系のダンスロック!
交錯する四つ打ちと三三七拍子!
ドープで謎い嫌がらせなんて彼らにとっちゃ朝メシ前!
日本一かっこいい独り言!

三曲三様のこのカルト・シングルの次の一手は何なのか!?
ナゴム系でデス渋谷系でポコチンロックでトラウマパンクで裏ドリカムな挫・人間の明日はどっちだ!?
彼らのこれからにますます目が離せない! いや、離せる! 結果だけ教えて!!


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