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『T.M.I』に関する最初の企画書


ZINEを作ろうと思った。

といっても突然『あ。ZINEをつくろう』と思い立ったのではない。バンドをやっている友達に『俺が監修してうまいことコンパイルしてやるよ』とケツを叩かれたんで、作ることにしたのである。

ZINEというカルチャーにちゃんと触れたことがないのであまりよく知らないのだが、ZINEといわれて個人的にイメージするのは『絵や写真をメーンに据えた薄手の冊子』である。インテリアとしても機能するような、スタイリッシュでコレクション要素の強いもの。もしくは、レポートやインタヴューを取りまとめ、あるシーンの動向をとらえたドキュメント的なものだ。

もちろんそれらはとても素晴らしいと思うが、おれが作りたいのは、そういうものではない。おれが作りたいのは、スタイリッシュでもドキュメンタリーでもない、純粋な読み物だ。

膨大な情報量があり、なおかつ具体的な何かにスポットを当てないもの。それでいてトイレでウンコしながら読むのがちょうどいいぐらいの気安さを兼ね備えたもの。おれが面白いと思うことだけをひたすら書き連ねて、そういうものをつくろうと思った。

ソウルミュージック、時代劇、ヤクザ映画、ラテンアメリカ文学、少女マンガ、深夜アニメ、漫才ブーム、コスモロジー、アウトサイダーアート、サイケデリックカルチャー、量子力学、精神分析、宗教史などなど、おれが31年間の人生のほとんどをつぎ込んで追いかけてきたアレコレを網羅した、あらゆるカルチャーが行き交う痛快な交差点を。

だから、いろんなひとの協力は仰ぐけれど、テキスト自体はすべておれ一人で書く。おれの頭の中にあるものを片っ端からぶちまける。それはめちゃくちゃに偏っているけれども、きっと同時に幅広くもあるはずだ。とにかくおれが面白いと思うものを並べて、そのオモシロさを全身全霊でプレゼンしたい。

『ウマ娘』をプレイしたことのないカーティス・メイフィールドのファンに、フロイドを信じないプロレスマニアに、オシッコでご飯を炊いたことのないボルヘスの読者に、胸ぐらを掴まれたままヒルクライムを歌う友人のいない密教徒に、そのオモシロさを申し述べたいのだ。

おれは何の専門家でもないけれど、このZINEで取り上げるすべてを心から愛していると自信をもって言い切れる。その偏愛ですべてを繋ぐのだ。『○○なんて興味ねえよ』と思っているひとに、『これはこれこれこういうものだよ』といってその魅力(みりき)を伝えたい。おれにはきっと、そういうことができるはずだ。イヤ、こんなの絶対おれにしか書けないし、絶対書くべきだ。なにかとなにかを愛で繋ぐことは、大いなる意義と社会的有益性がある。

そう信じて制作をはじめて早一ヶ月半、もう15万字ほどのテキストを書いたが、おそらくこれで半分というところだろうか。たぶん100ページは超えるだろうと思う。

タイトルは『T.M.I(ティエマイ)』とする。“Too Much Infomation”の頭文字を取ったスラングで、直訳すれば『余分な情報』『どうでもいい情報』という意味となるが、『そんなこと言わなくていいから!』『そんなの知りたくねえよ!』みたいなときにも使われる。まさにおれがやろうとしていることにピッタリな言葉である。

売れるかどうかは解らないけれど、そんなの何だってそうだ。ハリウッドに古くから伝わる言葉で『誰も何もわからない』というのがある。ヒットの方程式などというのは存在せず、そんなことを考えたって仕方がないということだ。とにかくこのZINEを作って出すこと、いまはそれしか考えられない。もしよろしければ、だが、投げ銭などで支援してくれたらヒジョーに、ヒジョーに、ひっじょおおおおおに幸いである。べつにクラウドファンヂングなどというものではない。そういう専門用語とかはよくわからない。『らぶりつください』とか『少しでもいいなと思ったらRT』みたいなものだ。とにかくパゥアを集めて、愛なき世界に、秩序なき現代に、渾身のドロップキックをぶちかましてみたい。それだけだ。


遅くとも10月末には出したい。絶対、絶対、ぜ〜〜〜〜ったい、面白いものをつくる。おれはおれの愛を信じる。おれがいまどのぐらいのテンションかというと、このぐらい盛り上がってるぜ。








ご期待ください。












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