山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第七十九回 30歳のプリンス特集
はいどうも。
僕ねえ、来月の12日で30歳になるのね。3月12日で30歳になるの。2020年3月12日に30歳になるの。令和二年三月十二日で三十歳になるの。
大事なことだから四回言いましたけど、まぁ30歳というのは漠然とした一つの節目ですよね。青年期が終わり、最初期の中年を迎える歳ですから。50年前の価値観だったら結婚して子供いて家建ててんのが当たり前ぐらいの年齢ですよ。そこ行くと凄いですよ僕。14ヶ月まるまる無職の実家暮らしで、去年の年収25万円ですから。社会不適合者としか言いようがない。シンプルに言って糞。どうした!?
で、これ男性がよくやってて、女性はあんまりやんない行為らしいんですけど、歴史上の偉人とか、自分が好きな有名人のwikipediaとか見て、いまの自分の年齢のときに何してたか調べたりして、愕然としたり、あるいは『まだ大丈夫だな…』って自分に言い聞かせたりしませんか? 俺はします。
小学校のころお母さんに散々言われた『よそはよそ、うちはうち』理論に対して僕は完全な懐疑派ですから、もう年がら年中比較してますよ。隣の芝生はいつだってゴールデンですよ。そしてそのたびに深いため息と共に『こんな木偶の坊は死のう…アルコールで』と思って酒をしこたま飲んで失禁してますよ。
そんな暮らしぶりですよ。
まあまあほいでね、今日は80年代を代表するスーパースターを例にとって、彼が30歳のときに何をしていたか。について綴ってみようと思います。
というワケで山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第七十九回は“30歳のプリンス特集”と題して、プリンスが30歳のときに何を成したか? について書いていきます。みんな、ついてきてね!
はい、プリンスです。『プリンス? 誰? キンプリなら知ってるけど』という御仁には、特に説明はしません。funk it upいい曲だよね。アレ超好き。
まあまあプリンスっていうのはすっげー簡単に言っちゃうと、19歳のころに作詞作曲も歌唱もプロデュースも全部自分でやってデヴューした、ブラック・ミュージック界の途方もない天才で、80年代を代表するスーパースターです。ちなみにプリンスっていうのは芸名じゃなくてガチの本名です。
で、1958年生まれの彼が30歳のとき、つまり1988年に何をしていたかというと、こんなことをやっていました。
どうした!!!???
まぁどうしたもこうしたもないですね、これは1988年にプリンスがリリースした『ラヴセクシー(タイトル超かっけー・笑)』というアルバムのジャケットです。僕はこのジャケット、ポップ・ミュージック史上最もカッコいいジャケットだと思ってます。
しかもこのアルバム、おそるべきことに曲が分けられてないんです。全1曲なんです。レコードじゃないですよ、CDの話ですよ(ちなみに現行盤はきちんとトラック分けされています)。
ちゃんと全部通して聴け。というワガママ王子の声が聞こえてきそうです。前年に『サイン・オブ・ザ・タイムズ』という世紀の大名盤を大ヒットさせ、もはや誰も文句のつけられない、芸術的フリーハンドを獲得したプリンスだからこそ為せたワザと言えるでしょう。
そしてこの画期的すぎるアルバムは、それまでのプリンス作品と比較して、ですが、あまり売れませんでした。まぁあらゆる意味合いにおいて『ですよねー』以外の感想がありません。とはいえ、このアルバムの内容自体はとても素晴らしく、プリンスらしい珠玉のファンクが盛りだくさんです。アイデアが詰まったMVも愉しいです。
こちらをご覧ください。
どうした!!!!!!!!?????????
まぁどうしたもこうしたもないですね、とにかく全編バグり散らかしてます。一秒もカッコよくないです。一秒もカッコよくなさすぎてマジでかっこいいです。
これが当時のクールだったんだろうか? それとも狙ってダサい演出にしたのだろうか? 多分後者だと思うんですけれども。
まぁいま、逆にこういう演出して『一周まわってクール』みたいなライン狙ってる方も大勢いらっしゃいますけど、そいつらが束になってかかってもこのプリンスには敵わないね。唯一比肩できるのは岡村靖幸の『SUPER GIRL』ぐらいだけど、でも『SUPER GIRL』って確実にこのMVの世界観意識してるよね。
プリンスの唐突な胸毛アップ(0:42〜)と岡村ちゃんの超高速移動(1:44〜)って世界観全く同じだもんね。
くるぞ…くるぞ…はいきた!!感あるもん。
これも完全に『どうした!!!!!!????????』系ですよね。
やっぱファンクって『どうした!!!!!!????????』って思わせなきゃダメなんですよ。
『どうした!!!!!!????????』こそファンクの本質だと思いますね。
『どうした!!!!!!????????』要素がないファンクってあんまり好きじゃないです。
『どうした!!!!!!????????』って思いたいからファンク聴いてんですよ。
ちなみに岡村ちゃんの正統派フォロワーとして、藤井洋平がいます。
ファッキン・リアル・ソウルシンガーです。ちなみにこれ笑わそうとしてやってないと思います。本気でカッコつけてるんだと思います。僕このひとのワンマン行ったことあるんですけど、ceroのヴォーカルの人来てて、終演後にceroのヴォーカルの人が『よかったよ〜!』って声かけたら、めっちゃキザな仕草しながら『んぁあ…ありがトゥ…』って完全に格上のテンションで答えてて、この人マジモンだなって思ったもん。
話が藤井洋平にまで飛び火してしまいましたけれども、岡村ちゃん本当にプリンス好きなんだなー。余談ですけど昔、友達がブート屋で働いてたとき、岡村ちゃんが来店してプリンスのCDを買っていったらしいです。僕それ聞いたとき、未だに追いかけ続けてるのだなぁ。と感動してしまいました。
まぁそんなこんなのラブセクシーですけども、マジで超カッコいいですよ。この曲とかもう逆に今っぽいもん。すげえクール。レコード欲しすぎる。
最高ですねー。
まあ総括すると30歳のプリンスというのは、“プリンスが最もプリンスだった頃”と言えるかもしれません。
30歳になった俺は、最も俺でいられるのか。
俺史上最も俺な一年を過ごせるのか。
正直言って、自信しかないです。
バンド二つ立ち上げて、ソロアルバム作って、写真集出して、小説二冊出して、友達と組んで漫画の原作者やります。
絶対やります。
俺の本当の人生はこれから始まる。
30歳から本気出す。
以上。
というワケでいかがでしたでしょうか、山塚りきまるの『なんかメロウなやつ聴きたい』第七十九回 30歳のプリンス特集、そろそろお別れのお時間となりました。次回もよろしくお願いします。あと誕生日プレゼントとか、バースデーメールとか待ってます。よろしくお願いします。寂しいんです。それではまた、お相手は山塚りきまるでした。