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呟きとメモ

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つぶやきやメモを集めたものです。新聞や本で見つけた言葉も含まれています。
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2021年8月の記事一覧

徳川慶喜の人物像-司馬遼太郎『最後の将軍』(3)

徳川慶喜の人物像-司馬遼太郎『最後の将軍』(3)

 司馬遼太郎は、慶喜について「習字、漢学、国語、和歌、馬術、弓術、剣術、槍術、騎射術…どの科目も世間の秀才なみのことはできたが、それ以上ではなかった。この人物の器局は、教授されることが苦手で、それよりも自得する才能に長けている様子で、学ぶことにあまり熱心ではなかった。…家康以来の英雄であるという評が慶喜の敵側からも出るようになるが、東湖がそこまで評価したかどうかはわからない」とも書いている。(34

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徳川慶喜の人物像-司馬遼太郎『最後の将軍』(2)

徳川慶喜の人物像-司馬遼太郎『最後の将軍』(2)

 前回、この本の中に書かれている「人物眼をもって知られる」藤田東湖の言葉として(一読者である自分にとっては意外にも)慶喜が英気と才気がある人物であることに触れた手紙があることを紹介した。
 あまり、彼が才気走らぬように注意なされよという高橋多一郎への手紙だ。なぜなら、それが世の人の反撥を招き、かえって彼に災いとなることがあるからだ、というものである。

 しかし、慶喜が実際、ほんとうに英気と才気の

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徳川慶喜の人物像-司馬遼太郎『最後の将軍』

徳川慶喜の人物像-司馬遼太郎『最後の将軍』

 渋沢栄一を描いている今のNHKの大河ドラマを熱心に見ているわけではないが、最近、昔買って、ほとんど読んでいなかった標題の文庫本を読んでみた。

 私は茨城県内に住んでいるが、水戸藩出身の慶喜の人間性のようなものについては、あまり知らなかったし、さほど興味があるわけでもなかった。

 御三家の水戸藩主、斉昭の子で、御三卿の一橋家に養子に出され、最後の将軍となり、大政奉還を行った幕末の人物。明治時代

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