プリンとコーヒーゼリーの間
夕方、中学校から帰って家で宿題をしていると、毎日おばあちゃんがおやつを出してくれた。
手作りのパイやふかし芋、おやつと言えるのか、というツッコミが入りそうだがお好み焼きや焼きそばが出てくることもあった。もちろんおばあちゃんの手料理は好きなのだが、「今日は作れなかったから簡単なものね」とカップのゼリーやプリンが出てくることがあり、それはそれで好きだった。
「プリンとコーヒーゼリーどっちがいい?」
妹が「プリン!」と間髪入れずに叫ぶ。小学4年の妹は、こういうとき決まってプリンだ。
「じゃあ私はコーヒーゼリー。」
ブラックコーヒーはまだ飲めないけど、ゼリーにしたらなぜかおいしいし、「コーヒー」という響きが大人っぽくてコーヒーゼリーを頼む。もっとも、お母さんはスタバに行ってもキャラメルマキアートしか飲まないから、ブラックコーヒーが飲めれば大人ってわけじゃないみたいだけど。
私が3つ繋ぎのコーヒーゼリーをひとつパキッと割っている横で、妹が3つ入ったプリンのビニールを破るのに苦戦していた。それを横目にミルクをコーヒーゼリーにかけた。
なんでプリンとコーヒーゼリーって3つずつなんだろう。そう思って調べてみたら、夕方はお父さんは仕事でいないから、お母さんと子供2人で食べることを想定して3つなのだそうだ。うちはお母さんも働いているから夕方はおばあちゃんと私と妹の3人だけど、まあちょうどいい。でもうちは甘いプリンやゼリーはお父さんも好きだから、お父さんの分もとっておいてあげたい気はする。
ようやく妹がプリンにありつけたころ、私はコーヒーゼリーをすっかり食べ終わってしまっていた。やっぱりプリンも食べたくなって、妹からひと口強奪した。ひと口が大きいとぶーぶー言われたが、コーヒーの苦味に染まった口の中がぱっと甘くなった。
やっぱ、プリンもおいしいな。
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