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社会人、中古車を買う

学生の頃から「いつか車を買うとしたらぜったいにアレ!」という車種と色を決めていた。ある日街中で見かけたスバル車に一目惚れし、いつかスバルユーザー、通称スバリストになりてえなあとボンヤリ誓ったものである。
あ〜、憧れの〜、スバリストにー、なりたいなー、ならなくちゃー、絶対なって〜やるぅ〜♪
というサトシもビックリの字足らずソングを口ずさんでいた。

それから数年経ってもその思いは消えていなかった。だったらやはり買うしかない!
私は「スバリストはキモい」という友人の声を振り切り、そのささやかな夢は今年の春に叶えられることとなった。
このために2年以上コツコツ、いや、せこせこ貯金に励んできた甲斐がある。
・・・え?お金を貯める秘訣???
そんなもん、彼女を作らない事に決まってんだろ!!!
クリスマスとも記念日とも無縁な日々はどれだけの金を浮かしてきただろう。
こんなライフハックを堂々と語る奴の文章を読んでくれる人達を私は愛したい。

さて、長年の夢とはいえど地に足はついていなければならない。新車を買うほどの金額は貯められないため、私は中古車で手を打った。いざ買ってみれば中古で事足りるため、変な見栄を張らなくて良かったと思う。
購入にあたっていくつかの中古車販売店webサイトを駆けずり回り、目的の車を漁った。まだ20代なのに「便利な世の中になったねえ」という感想を抱いたものである。
中古車は全て一点モノであるため、膨大な数から何個体かをピックアップし、比較検討しなければならない。ポイントは値段や走行距離、装備品、販売店までの距離など様々だ。数多くあるパラメータと自分の財布を天秤にかけ、AIには決してはじき出せない最良の選択をする必要がある。
私は悩みに悩んで購入対象を4個体に絞っていた。どれも実力が拮抗している中古車四天王といった感じだ。これ以上はショップ店員の話を直接聞かなければ決めきれない。
そして、4個体中2個体の販売店が今世間を騒がせているあの会社だった。大きい回転機械を意味するアレである。
当時は何も囁かれておらず、車を買うならあそこというほど有名だった。私も例に漏れず宣伝効果をもろに受けており、「買うとしたらこの店になるかもなあ」とぼんやり思っていた。
しかし、就職先を最後は人で決めたように、中古車についても販売店の人の対応で決めた。結果、某大回転機械からの購入は見送ったのである。なんとなくそこの店員の対応は鼻についたのだ。
「最後は人で決める」という選択は案外外さないのかもしれない。

あれから約半年経ち、スバリストとして楽しいカーライフを送っている。もし、あの時先入観にまかせて某会社の方で車を買っていたらどうなっていただろう。さすがに事故ることなんかは無いと思っているが、少なくとも周囲から「情弱」とか、「よく調べずに車買ったバカ」、「スバリストはキモい」とか陰口を叩かれていた可能性はある。

助手席に憧れの女の子を乗せ、
「すごい!この車カッコいい!」
「ハハハ、そうだろう?」
「うん!どこで買ったの?」
「ビッ○モー○ーだよ」
「は?キショ。降りるわ」

なんて展開が待ち受けていたかもしれない。
人生には選択に対する後悔が多いのかもしれないが、こればっかりは「ああして良かった」と思う選択である。

#あの選択をしたから

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