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夏休みの思い出ってなんだろう

文章教室を始めて4年目。夏休みは恒例の「作文講座」を行う。夏休みの宿題のための講座で、夏休みが始まったと同時に「思い出」や「読書感想文」の書き方をレクチャーし、8月の夏休み終盤に添削をする。

この夏の予定を聞いてみたら、もうすでにディズニーランドへ遊びに行ったとか(九州から行くのは、大仕事です)、バリ島へ行くとか、遠出の予定もあるし、ひと月ずっと東京のおばあちゃん家に行って、ずっと勉強(なぜかはわからない)という子もいた。一方で仲良しのいとこが来るのが楽しみだとか、花火大会が待ち遠しいとか、定番のお楽しみもあるようだ。

でも、わたしのツボにハマった、直球ど真ん中の予定は、「ゴロゴロする」だった。その子は、それはそれは嬉しそうに「本を読んで、ゴロゴロして、おやつを食べて、またゴロゴロして、テレビを見て、ゴロゴロして、それから大好きなポケモンのゲームをして、ゴロゴロします!」と宣言した。

「そんなに毎日ゴロゴロしてて、飽きないの?」と聞いたら、「ええ!飽きません!好きだから!」と彼女はきっぱりと言い、「ウヒヒヒヒ」と笑った。

いいなあ。好きなことだけをする夏休み。まあ、小学生だから、宿題はやるんだろうけれど、それ以外の時間を本当に自分の好きなことだけに使う。なんて贅沢なんだろう。わたしのスケジュール表には、その時間はない。もっと時間を上手に使えるようになりたいと思う。

ムスメが4年生の時、新採用の先生が担任になった。大学を卒業したばかりのその先生が言った言葉が忘れられない。

ムスメは、夏休みの宿題の「自由提出」を全く提出しなかった。お約束のドリルや絵などはやったが、「出しても出さなくてもいい」というものは、出さなかった。二学期が始まってすぐ、先生に「すみません、書道くらいは出せばよかったんですが、『納得がいかない』と言って書いたものを捨ててしまいました」と言ったら、先生は「そうなんですか!いいと思いますよ。これくらいでいいや、って、チャチャッと書いたものを出すんじゃなくて、失敗して、結果的には提出しなかったけど、チャレンジした。そっちの方が、きっと夏休みの本質なんだと思います。」

さて、夏休みの思い出作文の方は、必ず提出しないといけないそうだ。どんな作文が集まって来るだろうか。どこにも行かず、何もしない夏休みであったとしても、きっと書くことは何かあるはず。件の「ゴロゴロ女子」のように、好きな時間をたくさん過ごして欲しいと思う。






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