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ジェーン・スローン

この絵の真ん中にいる女性が、「ジェーン・スローン」に見える。

ジェーンは、米ドラマ「Bold type」(邦題「NYガールズダイアリー・大胆不敵な私たち」)の主役の一人。同じ出版社で働く三人の若い女性が、キャリアを積みながら成長する話だ。

海外ドラマは、社会情勢や社会問題が織り込まれている。人種、性別、貧富の差、国籍、宗教など、差別を孕む問題が提起され、登場人物がそれを乗り越えながら(あるいは乗り越えられずに)、成長とともに愛や友情を育んでいく。ジェーン・スローンはライターで、彼女の数々の失敗が、いつもわたしの胸に棘を残す。考えさせられる。

毎回、文化の違いをまざまざと見せつけられるのだが、彼らは躊躇なく、社会問題について意見を言う。問題だと思うことは、たとえ親友でも、いや親友だからこそ、指摘し、話し合う。「ごめん、わたしが間違ってた」とお詫びのワインを持って部屋を訪れる。いいなあと思う。これこそが、日本に必要なのではないか、と思いつつ、自分はどうかと言えば、「事なかれ」で済ませることが多い。

昨日、友人と電話で話した。「小泉進次郎くんと滝川クリステルさんが結婚しちゃって、まあどうしましょう!って感じよ!」と声を弾ませた。それあんまり興味ないな、と思った。「おめでたい話かもしれないけど、わたしにはあんまり関係ないなあ」と言うと、「なに言ってるの。彼は次期総理大臣候補よ。それにこれからは滝川クリステルさんが隣にいるのよ。最強じゃない?わたしはあんなにキレイな人は見たことがないわ。」

「ごめん、この話のポイントはなに?」と聞いてしまった。「えーと、それはね」と、彼女はもう一度自分の発言をおさらいして、さらにこう言った。
「わたしはね、自民党をヨシとしていないんだけれど、彼が『公私を切り離せず、夜も眠れないほど仕事のことばかり考えてる』って言ったでしょ。そんな政治家、もうほとんどいないわ。こうなっちゃったらもう、どうしようかしら、ってことよ。」

わたしが論理的かつ簡潔に、さらにソフトな表現で言えたらいいんだけど、そんな技は持っていなくて、かと言って鋭く指摘するような意見もなく、スッと心を閉じた。単純に、「何か気持ち悪いな」と感じているのだが、言いたいことがまとまっていない自分が情けない。

あれこれ話が脱線したり、また引き戻されたりして、彼女が「あのね、昨日、近所の奥さんと話をしていて『わたし、選挙なんか行ったことないわ』って言うから『あんたバカじゃないの』って、50歳にもなって、選挙に行ったことないなんて本当に腹が立ったわよ。」と言ったので、自分の気持ちにも落とし所ができて、「じゃあ、またね」と電話を切った。

ジェーン・スローンだったら、どう言ったかな。そう思いながら、自分の浅さが恥ずかしかった。もっと考えよう。

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