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いがいに

夢は本当に不思議だ。当たり前のように現実と架空の世界がごっちゃになる。

わたしはさきさんという友人のお宅に泊まっていた。実際のさきさんの家とは全く違うのだが、さきさんのご両親やおじいちゃんも一緒にいた。わたしは、朝ごはんの片付けを始めたのだが、流しから水が大量に床に溢れてしまい、バケツをひっくり返したくらいの水たまりができた。こりゃいかん、とわたしはせっせと床を拭き上げる。するとおじいちゃんが怒り出す。「こら!なんでこんなことになっとるんだ。初めての人が来る時は、年長者がちゃんと指導してやれ。うちの台所はこうなんだと教えてやらんとこうなるだろ」 なるほど。しかし、さきさんはわたしよりも年下である。すいません。

さきさんと印刷物の交渉をしに印刷会社へ向かう。そこは大名という実在する地名の場所にある。奥まったところにある作業所の手前に広いミーティングルームがあり、そこで男性と打ち合わせをする。営業の人は結構高い金額を提示してきて、わたしたちは困惑する。そこへもう一人、年長の男性がやってきた。この人はクリエイティブ職なのか、ちょっと変わった形のメガネをかけていて、インテリ風でもある。50〜60代だろうか。彼は「金額は別にいいですよ、安くても」と言う。「同人誌でしょ?しかも部数が少ない。それに4万は吹っかけすぎでしょ」と言った。すると営業の人が「いやいや、これは適正ですよ。むしろ安すぎるくらいだ。当初の見積りを出したコウダさんは8万と言ってましたから」は、はちまん…と、さきさんとわたしは目を合わせた。

ベルが鳴って、お昼休みになったようだ。続々と作業所から人が出てくる。そしてミーティングルームに並べられたいくつものテーブルに着く。
全員がスッとウイッグをかぶり、カラコンを入れ、カラフルな服に着替えて、そこはコスプレ会場になった。さっきまで高いの安いのと言っていた営業とメガネの男性もスッと髪をほどき、ロングヘアになっている。誰のコスプレだろう。雰囲気はジョジョの奇妙な冒険風である。そしてレーズンパンをほじくって食べていた。

さきさんとわたしは「一旦、持ち帰って考えます」とその場を去った。わたしはさきさんが隣にいるのに、なぜか電話で「あの背の高いインテリメガネの男性が」と話している。電話の向こうから「誰が背の高いほじくりメガネだって?」と声がする。「あれ?わたしは誰と話しているんでしょうか」と聞いたら、「背の高いほじくりメガネですよ」と返事が聞こえた。「ほじくりメガネなんて言ってないです」と抵抗するが、「いや、言った」と譲らない。

さきさんは、「わたしが先に行って交渉してみる」と言って、再び会社に入っていった。割とすぐに戻ってきて、「お待ち兼ねよ」とドアを指差した。
わたしが入っていくと、濃いめの水色のスーツを着てハットを被った、あのメガネの男性が立っていた。わたしはプッと吹き出してしまった。腕組みをしてビシッとポーズを決めているのだ。そこは小さな舞台になっていて、音楽が流れミュージカルが始まった。彼の一人舞台である。わたしは「コスプレの上にミュージカルか」と驚いたが、あまりにイキイキと歌い踊る姿に、「振り切ってるなあ」と感心した。

舞台が終わって、こちらへと促されて先に進むと、そこはレストランだった。テーブルに並んだ料理はどれも美味しそうだが、中華、洋食、フルーツ、ジャンクフードと種類がバラバラだった。彼はバリバリむしゃむしゃといろんな食べ物を平らげていく。わたしはただそれを見ている。さっきは50代くらいかと思ったが、実は30代くらいかもしれない。気づくとテーブルには古地図が広げられていて、これが専門だと言う。話が面白い。もっと聞きたい。わたしは思わず「今度、一緒に食事に行きましょう。行きませんか」と声をかけた。すると彼はにっこり笑って「やった。目一杯食べよう」と言った。中学生か、とわたしは思った。

目から覚めて、最近、2.5次元ミュージカルを見たり、古地図に沿って歩くYouTuberを見たりしているから、こんな夢を見るのかなと思った。あんなにバリバリ食べる人は最近見たことはないが、「やった、目一杯食べよう」というのは、中学生が先日言っていた。記憶の片隅にあったのだろう。そうだ。SPY×FAMILYの舞台を見る予定だから、それが楽しみなのかも。あのスーツとハットはロイド=フォージャーが着ていた。

今夜もいい夢が見れたらいいなあ。



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