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吟行とマイルール

毎年、この時期、梅雨の晴れ間をぬって吟行に行く。文章教室の子どもたちを連れて、見晴らしのよい場所へ向かう。ここで詠んだ短歌をあるコンクールに応募するのが恒例となっている。なぜか毎年、4〜5人が入賞している。

一昨年、入選した子が、去年は入選しなかった。今年こそはと意気込んでいるのだが、詠んでも詠んでも、散文にしかならない。

五・七・五・七・七の短歌のリズムで詠んでね、と何度言っても、「だって、ムリだから」「でもこれしかできないんです」と手直ししない。言いたいことが「五・七・五・七・七にあてはまらない」と言うので、そこを当てはめるようにするのが、短歌のルールだよ、と念押し。もちろん、字余りとか、自由律とか、いろいろあるとは思うが、小学生には短歌の基本リズムを覚えて欲しいので、この段階ではあえてそれは教えない。「がんばって、やってみて」と声をかけたら「だからそれはできないんですって!」と半ばキレ気味に言ってきた。

「100m走の競争をします、ってことになったとするよ?わたしはそれに参加します、でもわたしは80mしか走れませんからそれでいいですよね、それしかできないんだから。って言っているのと同じだよ」と返したら、「あ…」とそれきり黙ってしまった。

言いすぎたかな。後味が悪い。そんなこともある、でいいのかな。大人も難しいが、子どもも難しいなあ。向いてないのかなあ。当の本人はケロッとして帰って行ったが、わたしはモヤっとしたままだ。


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