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そのまま

体育大会を見に行った。思ったよりたくさんの観客がいた。わたしとオットは直射日光を浴びながら、暑さになんとか耐えた。

「昭和か」と思った『俵かつぎ』という種目は、思っていたのと全然違った。俵をかついでグラウンドをえっほえっほと運ぶ競争かと思っていたら、頭上に持ち上げてそのままキープするという、重量挙げ耐久競技だった。女子は17kg。俵が頭よりも下に下がったらアウト。頭に乗せるのもダメ。両手でしっかりとバンザイの形で持ち上げなければならない。「これはやっぱり、昭和からの伝統の競技なのかな」と言ったら、オットが「さっきアナウンスで、今年から始まった競技だと言ってたよ」と教えてくれた。そして「来年はないだろうなあ」とつぶやいていた。

『綱引き』と『玉入れ』は、思っていた通りの競技だったが、『大玉転がし』はちょっと違った。直径が2メートルくらいあるゴム製のボールを2列になった生徒たちが頭上を転がしていく。トラックを一周するタイムレースだが、人数が足りないので、自分の頭上を玉が通ったら、急いで列の最後尾に向かって走る。そうやって列を延伸しながらゴールを目指す。そりゃもう、高校生たちがバンザイの形でわーわー言いながら、どどどどど…と目の前を走っていく。面白かった。何より、本気で走る姿や、仲間を応援する様子がとても清々しく、高校生活を満喫しているように思えた。

開会式で校長先生が「ここにいる全員が、初めての体育大会です」と言っていた。閉会式では特に3年生に向かって「3年生のみなさんは、入学式もなく、2ヶ月の休校から始まり、その後も全ての行事が短縮、中止となって、この2年半の高校生活の経験が、思うようにはできなかった。それでもこうして、後輩たちを引っ張って、見事に体育大会を実施してくれた。ありがとう」と言葉をかけていた。

ママ友のグループLINEでその話をしたら、「うちの学校の校長もそう言ってた」「うちの校長もそう言って涙ぐんでいた」とみんなが口々に言った。教育現場ではこの3年近くの間、生徒たちの行事が行えないことに先生たちが心を傷めていたのだなと思う。入学式以来、学期ごとの三者面談以外の行事に保護者が招かれなかったので、ここにきてやっと「どんな学校か」が少しわかった気がする。

さて、うちのムスメであるが、砂ぼこりを全身に纏って帰宅したが、夕食を食べた後、風呂にも入らず、体操服を着替えもせず、そのまま寝た。布団で。どれだけ言っても起きやしない。最悪。


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