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お母さんは怒っています。…が。

「できの悪い子ほどかわいい」と言った人はどういうつもりなんだろう。まったく共感できない。

正直、うちのムスメはできが悪い。個性的といえば聞こえはいいが、要は「わかってない」のだ。学校の授業用のノートに落書きをする。パラパラ漫画どころではない。1ページ板書を写したら、次のページは女の子のイラストがぎっしりだ。1冊のノートを複数の教科で使い、その合間合間に落書き。どう考えても、勉強をしに学校に行っているとは言い難い。その結果、どうなってしまうのか想像もできないのだろう。危機感というものがまったくない。彼女はわたしとは別人格なので、他人事だと思えば済むが、やはりそうはいかない部分もある。親という立場上、ある程度はフォローしなければならない。

今日は中間考査が終わって、学習ノートのチェックの日だった。本来部活をやっている時間に家に戻ってきて「えへへ」と言う。どうしたのかと聞けば、理科のノートが完成していない、提出しないと点数がマイナスになると言う。どうするつもりだ!と強めに聞いたら、板書できていないところは友だちから借りたノートを写させてもらうと言う。

ムスメのノートを開いて見てびっくり。これ、理科じゃないよね?国語と理科と社会と数学がごっちゃだし、ほとんどのページは落書きばかり。一方、借りてきた友だちのノートを見たら、素晴らしく丁寧にまとめてあり、図も文字もきれい。なんだこの差は。幼稚園のお絵かき帳と中学生のノートを比べているような気がしてきた。

この1年半でノートを何十冊買っただろうか。新しいノートを買うたびに、「二度と落書き帳にするな」と伝え、学習ノートとは別に落書き帳も加えて与え、とにかく、授業中は先生の話をちゃんと聞け、と何百回も言った。何百回も言って治らなかったのだから、もうあきらめろと神様が言っているのか。

ノートだけじゃない。学校でもらったプリントをぐしゃぐしゃにカバンに突っ込む。朝、「提出しておいて」と頼んだプリントを持って帰る。翌日も「出しておいてね」と頼むが、持って帰ってくる。

脳の血管がキレそうになる。

今日もあまりに頭にきたので、「このまま脳の血管が切れたらあなたのせいです」と言ってやりたかった。しかし、そうじゃない。ムスメのせいではないのだ。短気なわたしが悪い。待てないわたしが悪いのだ。学校に間に合うように、その出かける時間に間に合うように、起こさなかったわたしが悪いのだ。そして、その時間にちゃんと起きられるように前の晩に早く寝かさなかったわたしが悪いのだ。と、考え始めたら気が狂いそうだ。いや待て、わたしが悪いんじゃない。ちゃんとやらないムスメが悪いのだ。…と繰り返し繰り返し、頭の中が混乱する。いかん。落ち着け。落ち着くのだ。

やはり怒りがおさまらない。目を閉じると、まぶたの内側に電気の残像が見える。そして閉じた目を開けると、ハニカム構造の図がばーっと出てくる。これはなんなのだ。本当に脳の血管が切れそうなのか?明日の朝、わたしは起きられるのだろうか。まだ永遠の眠りにつきたくはない。

とりあえず、お風呂に入ろう。


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