本格派?
重い腰が上がらない。本格派スパイシーインドカレーのレシピに「玉ねぎ大4個 みじん切り」と書いてある。カレーは食べたいが、たまねぎを切るのはいやだ。まず、わが家の包丁が切れない。砥石がないので、刃物研ぎ用の金属スティックを使っているのだが、それも最近は研磨剤が磨り減ったのか、威力がない。ツルツルとたまねぎの表面を滑って切りにくい。さらに、切れない包丁で切ったたまねぎは、問答無用で目にしみる。目だけではない。鼻にも喉にも、しみてくる。フードプロセッサーやフードカッターなどの小洒落た道具は持っていないし、家族に頼むこともできないし、これは困ったことだ。
たまねぎといえば、「好き嫌いはないんですけど、加熱したたまねぎだけはどうにも…」と言った友人がいる。「あの、噛むとウニュ、ニュル、グシャ…とした食感がダメなんですう」と、本当にイヤそうな顔をした。
食感といえば、「好き嫌いはないんですけど、生のトマトだけはどうにも…」と言った友人もいる。「ケチャップも、ミネストローネのような火を通したトマトは大好きなんですけど、生のトマトの、あの、噛むとグジュ、ベチャ、ジュル…とした食感がダメなんですう」と、本当にイヤそうな顔をした。
生のトマトといえば…いや、もうそんなにエピソードはない。ただ単に、たまねぎを刻む行為から現実逃避をしたいだけだ。こうしてパソコンの前に座っていても、晩ごはんの準備は進まないとわかっている。
…もう、本格じゃなくてもいいことにする。半格くらいでよかろう。みじん切りではなく、くし切りくらいでなんとかしてみる。今夜は『半格派インドカレー』だ。
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