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つっこみ

オットは頭の回転が速い。しかも、イヤミとか軽口とか、こっちがイラッとすることを間髪入れずに発する。この辺りの方言で「せがう」という。からかいの一種だ。なにが楽しくてそれをやるのか。本当に腹が立つ。キー。

きのう、わたしは疲れていたが、洗濯は日々の仕事である。休むことが出来ない。毎日毎日、大量のタオルを使い、1日に3回もシャワーを浴びて着替えるムスメの洗濯物の量が半端ない。洗濯機を1日に3回まわす日もある。

洗濯機が終了の合図を鳴らし、わたしは洗濯機から洗濯物を取り出していた。そしてつい、口から出てしまった。
「ほんっとにもう!毎日、毎日…!」
するとオットが間髪入れずに言った。
「ほんと毎日よく働いてくれるよなあ、洗濯機」

わたしは、カチンときて、ウッと黙る。打てば響くように返すことができない。3秒以上たって、やっと出たのは「ふざけるなこのヤロー」だった。
…下品である。まず、タイミングが遅すぎる。そして語彙力のなさ。

ここで一流の漫才師だったら、どうツッコミを入れるのか。どうしたら、なんでやねん、もうええわ、で締めくくれるだけの面白みを持ってこれるのか。

まあ、それだけの話術を持っていたら、いつか『その才能がもったいないからプロの漫才師にならないか』とスカウトされる日が来るかもしれないが、日々鍛錬に励むことイコールオットの軽口に付き合うということになる。それは…精神が病むかもしれない。

わたしは小学生の頃から「真面目が歩いている」と言われるほど、面白みのない子どもだった。しかし、今考えると、それは「真面目」なんじゃなくて「頭がカタイ」という意味だったのだろうと思う。

冗談を柔軟に受け止められない。イヤミをうまくかわして、さらっと流すことができない。みんなの笑いが通じない。どう返していいのかわからない。ねえねえ、なんで今、みんな笑ったの?とよく聞いていた。だれも説明をしてくれない。大事なところを聞き逃すことも多かった。そんな感じのまま、大人になった。

で、今、これだ。

どうやったらうまいことツッコミができるのか。この心底むかつくからかいをオットがギャフンと唸るような、一刀両断するテクニックはないものか。

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