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夢でもし会えたら

ネットでしか話したことがない人がいる。twitterやnoteのコメント欄でやり取りをしているが、実際には声も知らないし、顔も見たことがない。それでも会話をしているのだから、「知り合い」と言ってもいいような気がする。

昨夜の夢は「こちらに来ることがあったら声をかけてください」と言われていたのを思い出した、というテイでストーリーが始まった。「そうだ。あの街に行くのだから、あの人に声をかけよう。」わたしはネット上で「明日行きます。都合が良ければ会いましょう。」と声をかけた。相手の返事も「わかりました。ライブ会場まで迎えに行きます」と、具体的だった。

ライブ会場はなぜか小学校の体育館だった。この理由は明確で、昨日わたしはミニバスケットボールのチームの動画編集をしていたのだった。記憶に新しいものが出てきたというわけだ。体育館の入り口が開いて、その人が入ってきた。背の高い人、と聞いていたのですぐにわかった。顔はピエロそのものだった。メイクではなく、眉毛が金髪のボウボウで、丸いおでこ、盛り上がった頰、なぜか鼻のあたりだけ真っ黒で、分厚い唇。その人はにっこり笑っていた。不思議な顔だ。気づけば、もう一人ネット上で知り合った人が立っている。彼は少し小柄で、でも同じ顔だった。同じ顔の二人が、「どうもどうも」とにこやかに立っている。

「りかよんさん、迎えにきましたよ。ごはんでも食べに行きましょう」と言って、背の高い方の人が2台並んだ車を指差した。その2台は、背の高い人と小柄な人の車だろう。どういうわけかその時点でわたしには連れ(これも初めて会う人)がおり、その人と別々の車に乗ることになった。「どっちに乗る?」と聞かれて、「どっちでもいいですよ」と答えた。するとわたしの連れは、背の高い人の車に乗った。わたしは小柄な人の車に乗り込み、シートベルトをしめた。「いい天気で良かったです」と、小柄な人はハンドルを握って、川沿いの道を行く。車の中は、車の匂いがした。修理工場のような、ガソリンスタンドのような。機械油と排気ガスが混ざったような匂いだ。日差しが眩しく、暑かった。

着きましたよ、と車を降ろされて、レストランに入った。そこはブッフェで、好きなものを好きなだけとっていい。わたしは食べ始めた。なぜか一人だった。黙々と一人で食べ、一人でお勘定をし、一人で帰った。

家に帰って、ソファに座ってのんびりと映画のDVDを見ていた。映画の中盤になって、違和感を覚えた。あれっ?あの人に会いに行ったんじゃなかったっけ?帰りの挨拶もしていない。いや、話だってしてないし、食事も一緒じゃなかった。もしかして、レストランの前でずっと待っているんじゃないか?いや、もう何時間も経っているのだから、彼も帰っただろう。でも、連絡しなくていいのか?これはまずいだろう。失礼にもほどがある。連絡をしたところで、怒っているに違いない。どうするどうする?

そこで目が覚めて、がばりと起き上がった。実際には、そういう人たちと会う約束はしていない。次にまた夢でオフ会をしたら、ちゃんと謝っておこうと思う。


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