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ぽっきん

夏が好きだ。7月、中でも「今日から夏休みですよ」という日の朝が一番好きだ。さあ、これから何をしよう、とか、わああ夏だなああああ、とか、そういう気分を膨らませながら、朝の少し湿った空気を鼻から吸う。

でもすぐに、陽が高くなって、セミがジージーうるさくて、カーッと気温が上がって、顔がじりじりと焼かれて、うへえ、夏は大変だなあとか思うんだけど。今日がまさに、夏休みの初日だ。

早朝、猫のただならぬ叫び声に目が覚めた。すごい鳴き声で、喧嘩なのか雄叫びなのか、あれで目が覚めない人はどうかしている。何匹いるのか。
んなーーーーーーあああーーーーおおおおおおおおううう
ふんギャああああ〜〜〜〜おおおおおおおお

なんだよまだ5時じゃないか、と窓の外を見ると素晴らしい朝焼け。

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通勤途中の道路にセミが転がっていて、君はみんなよりずいぶん早くに生まれたのだなと思いながら通り過ぎる。ジージーうるさい奴らの先輩だ。

冷凍庫で静かに眠っているポッキンチュー(商品名)が楽しみだ。あのアイスは、地域によっていろいろと呼び名が違うらしいが、この辺りではなんというのだろう。子どもの頃、なんと呼んでいたのか思い出せないが、夏の定番。

夏の朝も好きだが、夜も好きだ。

今年はまだ蚊取り線香を焚いていない。花火もまだだ。スイカを食べなくちゃ。ぬるい夜の風に吹かれて、まだ帰りたくないなと思いながら、国道沿いを歩く。午後8時をすぎてもまだ薄明るい空を見上げる。窓に灯りがつき、エアコンの室外機が低い音でうなる。みんなは夏が好きだろうか。あの人は夏が好きだったろうか。

わたしの夏はこれからだ。



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