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きみのな

今朝のラジオで知ったのだけれど『タナカヒロカズ運動』なるものがあるそうだ。田中宏和さんが発起人になり、全世界のタナカヒロカズさんが集結するイベントが行われ、同姓同名の人が同時間に一箇所に集まったという記録がギネスに認定された。タナカヒロカズさんたちが不思議な絆で結ばれていることは、動画を見ればすぐにわかった。

わたしは子どもの頃から「同姓同名の人がいるかもしれない」という考えはなかった。名乗ると必ず「変わった名前ね」と言われたし、その言葉には「珍しい名前」というよりも「変な名前」という意味合いが濃かった。だから、同じ名前の人なんかいないだろうと思っていた。

小学生の時、親がどんな気持ちでつけた名前かを調べる宿題が出た。「姓名判断で画数を選んで決めた」という結論に「だったら他の選択肢もあったのでは?」と思った。そもそも苗字があまりメジャーではない。ドラマや映画の登場人物の名前で聞いたことがなかったし、さらに苗字と名前の「音」のバランスがすごく悪い。苗字と名前のつながり部分の子音と母音の流れが悪く、名乗った時に一回で聞き取ってくれる人が少ない。変な名前と言われてコンプレックスがあるのに、さらに「そんな名前があるわけないじゃんか」と思うくらいの変な名前に上書きされる惨めさ。

しかし今は2022年。もしかしたら世界中には何人かいるかもしれない。同姓同名の人はいなくても、名前だけでも同じ人がいるのではないか。ググってみたら、同じ名前の人が2人いた。それだけで面白いくらい親しみが湧いたと同時に、この人も苦労したんじゃないかと思った。一人は写真があった。素敵な笑顔のその人は、芯を持って生きている感じがする。とても幸せそうで、その様子がとても励みになった。

最近は、わたしが名乗ってもなんのリアクションもなく「よろしくお願いします」と言われることが多くなった。今はもうキラキラネームとかシワシワネームとかのブームを経て、「名前はいろいろあるしな」という認識なのだろう。

もし今、自分で名前をつけていいと言われても、他に考えがあるわけではない。これまでずっと、わたしを形成し続けてきたのだから、もう名前はこれしかないと思う。わたしはわたしでいいのだ、と自分に言い聞かせながら、両親に感謝する。




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