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44歳になってやっと理想のパートナー像が分かった

若い頃「親友に彼氏を寝取られたら」という話題が上がったことがあったが、それに対し「あ、そっちのタイプだったのね。でYはどうなの?お互い惹かれ合うなら仕方ないなー。だって私はYのことも大好きだから、その魅力をわかったならある意味で正解」と思うだろうなと考えていた。

それだけYちゃんと私は真逆であり、Yちゃんは絶大な愛を受け取る女だと思っていたし、今でもそう思っている。

そこにはおそらく、絶大な愛を与える彼女の父と、最高に愛される彼女の母と、その彼女が産んでくれた愛してやまないYという存在があり、その親友「梨花ちゃん(私)」という関係性が古くからあったからだろう。

彼女の家庭はまさに理想的であり、加えて彼女の父があまりにも素晴らしいと気がついたのは、最近の話。
だから私たちはきっと理想が無意識に高くなって今でもシングルなんだよ!と彼女の父に重い責任を負わせ、なんとなく納得した。

お父さんの特殊能力

ではなぜYちゃんのお父さんが、理想的な男性なのだろうか。

Yちゃんのお父さんは、元大学教授で頭がよく稼ぎがよく物腰柔らかで優しく、それでいて見た目もよい。
特にいつも話し方が優しい人という印象は、私が中学生の頃から変わらない。
威圧的な話し方はいっさいせず、幼少期から怒鳴られたことはないという。
それよりもなぜしてはいけないのかを事細かく論理的に話してくるから、逆に面倒だったそう。
怒る、というよりも、諭す、に近いのだろうか。
だからかYちゃんも感情的になったりはせずに、事実を淡々と詰めてくるタイプで男性によく怖がれるそうな。
頭のよさも記憶力も恐ろしく抜群で、口論になったら勝てる人は稀だろう。

お父さんの優しさ以上に特殊能力ともいえるポイントは、お母さんに対する態度である。
お父さんはお母さんのことが大好きで、”可愛いKちゃん”としてずっと甘やかしているそうだ。(Yちゃん論)
とはいえ母Kちゃんは、いわゆる可愛いらしい人ではない。
どちらかというとズケズケとものを言う、毒舌の超美人。
夏休みにYちゃんの家に入り浸る私に対し
「梨花ちゃんは遠慮がない」
とKちゃんが言ったのを聞き
「Yちゃんと仲良くしてくれてありがたいじゃないの。梨花ちゃんは何が食べたいのかな?」
とお父さんが場をまとめてくれるような、そんな家族だった。

私の結婚式にはYちゃんとKちゃんで出席してくれ、なんだかんだ言ってお母さんも私のこと好きなんじゃん、と思っていたのはここだけの話し。

30年もYちゃんと親友でいられているのは、過去にお父さんの特殊能力に救われていたからなのかもな。

お父さんの凄さが浮き彫りになった出来事

そんなKちゃんが、年末に脳梗塞を起こして倒れた。
その1週間後にYちゃんと食事した際、「ますますKちゃんの毒舌に拍車がかかった。こんなこと言われたあんなこと言われた」と、その毒舌っぷりに思わずお腹を抱えて笑ってしまった。
心配ながらもその事実を受け止めて、あった事を淡々と話す姿がなんとも彼女らしく、頼もしく思えた。
決して後ろ向きに考えずに、これからできることをやっていく姿勢に直ぐに切り替えたのは、この家族ならではだろう。
文句ではなく事実を述べているのだ、というスタンスは、事実を後ろ向きにとらえないで済む最適な手段なのかもしれない。
そして危ない時期を乗り越え、現在はデイケアと家庭でケアをしながらの生活をスタートしている。

近況報告の最中、なんとなく聞いてみた。
「お父さんって、この介護生活すら研究として楽しんでそう。Kちゃんの統計取ってそうだよね。そのうち論文発表しちゃうんじゃない?」
その予想は的中していたようで、トイレに行く時間や回数、食事や飲み物など、お父さんはすべて統計を取っていた。
そして数ヶ月分以上のデータがまとまり、「多分この時間でこうなると思うんだよね」とYちゃんや介護士との引き継ぎもバッチリ行なっているんだとか。
イレギュラーもしっかり記録しているようで、本当に論文を発表してしまうのではないだろうか。
さらには「病気はお金がかかるからね。お父さん稼いでくるね!」
と介護と調整しながら、全国を飛び回る生活をしているようだ。
もうすぐ70歳なのに、パワフルすぎる。
どうか、たまには休んでください。

理想的な男性であるYちゃんのお父さん

ここまでの話をしていると、Yちゃんのお父さんがなんて素敵な男性なんだと気がついたのだ。
「Yちゃんのお父さんって、理想的じゃない?だってずっと可愛い可愛いって甘やかしてくれて、優しいし格好いいししかも稼ぎも良い。理想的過ぎない?」
「そうなんだよね!甘やかしてくれて優しくて稼ぎも良いって、いいよね」
「なかなかいないよね。こういう状況のときにマイナスになるのではなくて、自分も前向きにできることをやっていく姿勢も理想的だよね」
「うんうん」

私たちは理想的な男性が近くにいるがために、無意識のうちに男性に対する期待が大きくなっているのではないだろうか。
だから44歳、ふたりともシングルなのではないだろうか。
そんなことにハッと気がついてしまった。

それからことあるごとに、Yちゃんのお父さんみたいな人、いないかなーが口癖になってしまった私たち。
甘やかしてくれて優しくて稼ぎがいい。
なにそれ最高なんだけど。
44歳にしてやっと理想の男性をはっきりと言えるように。

「あなたの理想は?」
「私を甘やかしてくれて、優しい心を持っていて、マイナスなことが起きても前向きに進むことができ、稼げる人」
44歳になって気がつくなんて。
遅過ぎたな。

うれしい!ありがとうございます!大好き❤️