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データビジュアライゼーションとはなにか、をおとぎ話風に語ってみる

データドリブンに目覚めた新米フードバイヤーは、
今は商人たちをデータで助ける、コンサルティング業界ではたらいていました。
あまたあるコンサルティングの会社の中でも、
彼女の仕事場はちょっと変わっています。

同僚たちは、全員異国の出身だったのです。

海を渡ってやってきた彼らは、彼女が見たこともない魔法を使います。

スキャッターチャートにガントチャート、
ウォーターフォールにヒートマップ。

先ほどまでただの数字の羅列で意味も分からなかったものが、
一目で意味が伝わる、図に変身するのです。

彼女は興奮して、異国のアナリストたちにたずねました。
「ねぇ、これはいったいどんな魔法なの?」

彼らは笑って答えました。
「これはね、データビジュアライゼーションというものだよ。」

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ごあいさつ

さてさて、前回に続いて、今回もファンシーな導入になりました。
こんにちは、Rikaです。
前回は、当時新人フードバイヤーだった私がデータドリブンに目覚めたときの話をしましたが、今回は、時がたち、外資系コンサルに転職して出会ったデータビジュアライゼーションについてのお話です。

私は今、Tableauを用いたデータビジュアライゼーションを中心に、データアナリストとして働いています。ので、今の私の原点とも言えますね。

2020年の今、日本に「データビジュアライゼーション」のブームが来ていると私は感じています。
TableauをはじめとしたBIツールが一般的になってきたこと、今まで積み上げるだけ積み上げてきたビッグデータの「活用」が意外と難しいことに気づいてきたこと、などブームを後押しする出来事が、ここ2年くらいで立て続いたのが大きな要因だと思っています。

このブーム、実は、私は4年前から予見していました。

・・・というと、怪しい預言者のようですが、
なんてことはありません。
2016年の時点で、データ先進国イギリスからやってきたアナリストたちと一緒に働いたことで、みなさんより一足早く、「データビジュアライゼーション」に出会っていたからです。

今日は、みなさんよりちょっとだけ早く「データビジュアライゼーション」に出会った私が思う、データビジュアライゼーションとは?と、うまくいくコツを、楽しく、わかりやすく、ファンシーにお伝えするため、おとぎ話風にお伝えしてきたいと思います。

データビジュアライゼーションって、何?

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イギリスからやってきたアナリストたちは、
今日も魔法のように「なぜか一目で意味が分かる」グラフを作っていきます。

「私だって、データの扱いにはまぁまぁ慣れてるほうよ!」
と、唯一の日本人アナリストだった彼女は、
彼らの真似をしてグラフを作ります。

しかし、なぜか彼らのように「一目で意味が分かる」グラフにはなりません。
困った彼女はマネジャーに尋ねました。
「どうして私のグラフは、他のアナリストと比べて分かりづらいのかしら?」

ややあって、マネジャーは答えました。
数字の表を、きれいなグラフにするだけでは、一目で意味が分かるようにはならないね。
課題に対して、データとビジュアルという手段でアプローチするから、Data Visualization なんだ。課題に対して適切なデータ分析と、適切なビジュアルがあって、はじめて一目で意味が分かるものに仕上がるんだよ。
さぁ、君のこの資料には、タイトルがないね。そもそも、どういう課題に対してどうアプローチしたいんだい?」

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最初に言います。
「データビジュアライゼーションとは何か」に答えはありません。

ただ、私は4年間このデータビジュアライゼーションと格闘してきて、一つ確信していることがあります。

「データビジュアライゼーションとは、数字の表を、きれいで格好いいグラフに作り替えることではない」

ということです。

データビジュアライゼーション、Data Visualizationを文字通り訳すと、
確かに「データをビジュアルにする」「データの見える化」「データの可視化」など、
数字を絵にするイメージがすごく強いですよね。

実際やっていることはそうなのですが、
大事なのは、「なぜ、データを見えるようにしなければならないのか」の目的の部分がごっそり抜け落ちては、意味がないということです。

分かりやすくするために、この表を棒グラフにしよう。
クロス表ではわかりづらいから、色を付けてヒートマップにしよう。
棒グラフだけでは伝わりづらいから、折れ線グラフを重ねよう。

一見何の問題もないように見えますが、私の眼にはこれは大問題に映ります。
なぜなら、ここには「目的」がないからです。

例えばこれ、こういう状況ならどうでしょうか?

「分かりやすくするために、この表を棒グラフにしよう」

数表

■元データ:架空のスーパーマーケットチェーンの、過去12か月のカテゴリ別売上推移(昨年対比%)
■知りたい人:スーパーマーケットチェーンの社長
■知りたいこと:夏ごろから売り上げが悪くなっている。どのカテゴリが悪いか知りたい。

では、実際にこのデータを棒グラフにします。

棒グラフ

・・・・なんかわかります?
分からないですよね。

目的がないまま作ると、こうなります。

では、このデータビジュアライゼーションの本当の目的は、
「スーパーマーケットチェーンの売り上げを改善したい。」
で、その目的にアプローチするための手段は、
「カテゴリ別の昨年対比売上データの推移をグラフにすることで、パフォーマンスの悪いカテゴリの特定を容易にすること」
と認識していたらどうだったでしょうか?

この場合であれば、こういう折れ線グラフにすれば、わかりやすかったですね。

(好調だった総菜が7月にガクッと下がって戻らない。ゆるやかではあるが、魚も微減傾向)

折れ線

(ほかにもやりようはいろいろあるのですが、棒グラフと折れ線グラフの違いに着目していただきたいので、今回はこれで)

「分かりやすくするために、この表を棒グラフにしよう。」
なぜこれが大問題か、もうお分かりかと思います。

数表がわかりづらいという「事実」と、棒グラフにするという「手段」しかここにはありません。

「知りたい人の知りたいこと」から「目的」を設定し、
それに対して、データとビジュアルという「手段」で目的にアプローチする。

私は、これが

「データビジュアライゼーション」

「一目でわかるビジュアルで、目的を達成する」

だと思っています。

目的を見失わないために

ゴール

ここまで偉そうに言ってきて、
私もしょっちゅうあります。「目的を見失うこと」
そうならないために、気を付けていることを3つ、最後にシェアさせてください。

① 知りたい人の知りたいことを把握する
データビジュアライゼーションを担う方の多くは、
「僕の知りたいことを、データビジュアライゼーションで解決してくれ!」という、依頼を受けて作業をする立場の方ではないでしょうか?

「知りたいこと」を持っている当事者・依頼者は、経営層だったり、部署の偉い人だったり、少なくとも「自分」ではないことのほうが多いように思います。
そのような場合は、「目的」が分かりようもないので、
ちょっと迷惑かな?と思っても、
「何で知りたいんですか?」
「何が知りたいですか?」
「それを知ってどうしたいですか?」
など、ずけずけ聞いて、彼らの「目的」を把握することが大事です。
意外と、依頼の時点で「目的」を開示してくれるケースは多くありません。
想像で突き進んで「なんか違うんだよな」といわれるくらいなら、先に聞いておいたほうが絶対にいいです!

② 最初にタイトルをつける
これからやろうとしていることからブレないために、
最初に「タイトル」をつけることは効果的です。
「この目的について明らかにするんだ!」ということを、タイトルという形で決定して、常に見える位置に仮でもよいので表示しておくと、物理的に目的が目に入って、ブレずらくなります。

最初に紙にタイトルと、表現したいことを下書きしてから作業にとりかかるのもおすすめです。

(↓過去に作ったViz、タイトルをまず決める・明示するのは大事)

キャプチャ

③ So what?と自分に尋ねてみる
「なんかわかりづらい気がする」「ブレてる気がする」そんな時は、
苦しくても立ち止まって、「So what?(だから何?)」というクールな目線で自分の作ったものを見直すのは効果的です。

別人になりきるのかコツです。
(できるなら、他の人に見てもらうともっと効果的ですけど、常にそんな人に控えていてもらうことはできないですから。)

最後に

さて、どうでしたか?
私がイギリス人たちの使うデータビジュアライゼーションの魔法に魅せられて4年、データ後進国の日本にも、ついにブームがやってきました。
データだ!可視化だ!
と流れに飲み込まれて、否応なくデータと触れ合っている方も大勢いらっしゃると思います。

つらいです。思った以上に地味で面倒です。
でも、データという資産を活かすのに、ビジュアライゼーションほど取り組みやすく・成果が出るものはなかなかないです。
私のようなエンジニアでもない、理系でもない、一般人がちょっとした努力とコツで、スペシャリストとして活躍できる可能性を秘めている、魅力的な分野です。

データビジュアライゼーションの世界に触れたすべての人に幸あれ!


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