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トーキョー’90クロニクル

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#オジサン

『路地裏の捨て猫は、ラブレターを破り捨てる』トーキョー’90クロニクル vol.11

『路地裏の捨て猫は、ラブレターを破り捨てる』トーキョー’90クロニクル vol.11

これまでの人生で、手書きのラブレターをもらったことが二回ある。二回というのが人と比べて多いのか少ないのかはわからないけれど、一通は高校時代に付き合っていた男の子からで、もう一通は同じく高校時代にデートクラブで出会ったオジサンからだった。

わたしがよく通っていた池袋のデートクラブはマジックミラー式で、わたしたちは指名されない限り、相手のルックスはわからず、外での待ち合わせで顔を合わせてようやく相

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『殴られたり首を絞められたり無理やりに姦されるリスクを、3万円では負えない』トーキョー’90クロニクル

『殴られたり首を絞められたり無理やりに姦されるリスクを、3万円では負えない』トーキョー’90クロニクル

かつてわたしは、売春婦でもあったし女衒でもあった。というのも当時、いわゆるウリをしていた女子高生たちの間には、“パパ”を融通し合う文化があったからだ。

マッチングアプリも出会いカフェもなかった90年代後半、援助交際の相手を探すのはテレクラ、ツーショットダイヤル、路上、デートクラブ、そして友達の紹介が主なルートで、そのうちテレクラとツーショットダイヤルは相手の姿かたちがわからないので、出来れば避け

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『痴漢は敵だけど、「痴漢に気をつけるのよ」という大人たちも味方ではない。』トーキョー’90クロニクル vol.7

『痴漢は敵だけど、「痴漢に気をつけるのよ」という大人たちも味方ではない。』トーキョー’90クロニクル vol.7

高校時代は自転車通勤だった。だから、実のところ、痴漢にあったことはあまりない。学校が終わった放課後、池袋や新宿に行くときは大概、友達と一緒だったし、大騒ぎながらメイクを直している女子高生の集団に眉をひそめる大人はたくさんいたけれど、近づいてきてその身体に触ろうとする男なんていなかった。

けれど、少しはある。小さい頃はマンションに住んでいたのだけれど、非常階段に露出系のオジサンがたまに現れて問題に

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『時代はあなたに委ねてる。選ばれる優越感と、ボーイ・ミーツ・ガール』トーキョー’90クロニクル vol.8

『時代はあなたに委ねてる。選ばれる優越感と、ボーイ・ミーツ・ガール』トーキョー’90クロニクル vol.8

放課後、女子高生デートクラブに足繁く通うようになったのは、デート一回につき5000円という、高校生にとってはそこそこの大金が稼げるチャンスがあったことや、退屈な同級生たちとは違う刺激的な女の子たちと出会えて仲良くなれたこともあったけれど、それ以上に指名を受けた時の昂揚感がハンパなかったからだ。

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