『最高の教師〜私は生徒に◾️された』の伏字に納得
先生と呼ばれる立場にいる自分にとって、毎回学びが多く、欠かさず見ていた『最高の教師』が最終回を迎えました。
『最高の教師』は、卒業式後、担任するクラスの生徒の誰かに突き落とされた教師が、過去に戻り未来を変えようとするタイムスリップ・サスペンスドラマ。
(以下、ネタバレを含みますので、ご注意ください)
最終回では、いよいよ、松岡茉優さん演じる高校教師、九条里奈がタイムリープして二周目の卒業式を迎えます。
毎回生徒たちが抱えてきた悩みや痛み、苦しみに正面から向き合うことで、クラスの空気は確実に変わり、一体感が生まれ、無事卒業式を迎えたかのように思えたのですが……。
人生1周目に里奈が突き落とされた場所に立つと、その背後には里奈の生徒、星崎(奥平大兼)がいました。
「みんなと同じ感覚」を持てず、共感性や喜怒哀楽が薄い。一見、冷静で大人びているように見えるけれど、自分は不要な人間なのではないかと世間への虚しさを感じていたと言う星崎。
里奈を殺そうとしていた動機が、怒りでも、恨みでもなく、自分は世の中に必要とされていないような『虚しさ』だったという展開に、現実世界にも起こりうる空恐ろしさを感じました。
家庭環境やいじめといったわかりやすいものではなく、自分という存在自体を肯定できないことが、星崎を追い込んでいた。
子どもたち一人ひとりをより良い未来に導く立場にある教師は、目に見える問題を解決するだけでなく、子どもたちが世の中をどう見ているか、どう感じているかにまで思いを馳せる必要があることを改めて思い知らされた気がしました。
ドラマの最後では
『最高の教師』とは、里奈自身というよりは、
『生徒たち』だったこと、
『生徒に◾️された』の伏字は『殺された』ではなく、『託された』であることが示されます。
確かにドラマの中で、生徒たちから教えてもらうことが、たくさんありました。
同時に、現実世界でも、子どもたちに教えてもらうことがたくさんあるなと、思いました。
私の出会う子どもたちは0歳から6歳の未就学児です。
いたずらな子、意地悪な子、泣き虫な子、色々な個性を受け止めながら過ごしていますが、
時折、星崎と同じように、喜怒哀楽が薄く、何を考えているのか、感じているのか、読めずに対応に戸惑う子がいます。それでも、その子自体の存在を丸ごと受け入れていくと、いつしか、膝上に上がり込んでくれるようになります。
ドラマを見終えて、
これから出会う子どもたち一人ひとりに丁寧に向き合い、教えを乞う気持ちで寄り添いながら、
【あなたはここにいてほしい】とサインを送りつづけていこう、という思いを強くしました。
日経クロスウーマンブログより転載
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