谷川俊太郎さんに学ぶ
詩やエッセイを書くときに、大切にしたい心構えを先人に学ぶシリーズ。
今日は、谷川俊太郎さん。
長崎県のある高校に谷川俊太郎さんが出前授業に訪れたときのこと。
女生徒がおずおずと質問をした。
「小さい頃迷子になった思い出を<ぬくもり>という詩にしたいけど、うまくまとまりません」
谷川さんは
「それじゃ一緒に作っちゃおう」とすーっとホワイトボードの前に。
「迷子の君を迎えに来たのは誰?」
「そのときお母さんの様子は?」
「お姉ちゃんは?」
谷川さんは次々と質問をして答えをボードに書き並べていく。
ぬくもり
泣きながらしがみついた
お母さんは おこってた
お姉ちゃんは 私に言った
「どんくさい!」
うれしいけど 腹が立った
三人で手を繋いで 歩き出した
手があたたかくなった
それだけで詩になってしまった。
大切なのは、気持ちが大きく動いた瞬間に照準を定めること。飾らなくていい。その時の情景と感情を、丁寧に、観察し、書き留めていく。
素敵な文にしなくては、と気負いそうになる時は、谷川さんのこのエピソードを思い出そう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?