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二度と会いたく無いと思った昔の同僚は、自分の鏡だった

結婚後、14年振りに働いた職場は、書店と、レンタルショップの複合型だった。

うつ病が完全に治る前に、働き始めた事もあり「人がコワイ」「人との距離感がわからない」…という状態だった。

その職場にいるパート仲間は、私の人生で出会った事のないタイプで、皆、個性が強めだった。   

入ってすぐに、シフト交換等の連絡に必要だからと、連絡先交換してもらったのだが、
一人、とても嫌そうに、不機嫌そうに、背を向けたまま、アドレスを書いた紙を、私に投げるようにして来た。

人にこんな態度する⁉️って、人格を疑った瞬間と、この同僚に嫌なイメージを持った瞬間だった。彼女はF。

それでも同僚の歓送迎会など、飲み会の集まりも良く、煙草を吸う同僚も多かった。

私は、数年間禁煙を続けていたが、飲み会で盛り上がったテンションで、Fから貰い煙草をしてしまったのがきっかけで、仕事の休憩時間を、一緒に過ごす事が増えた。

喫煙所や、事務所では、Fと親友の同僚Kが、常に二人一緒だったので、その横にポツンと、私がいるという感じだった。

ある日の休憩中3人でいる時、同僚Kに
「りかさんって、いつも一人だよね…何で?」と聞かれ
 
「…人がコワイから…」と答えたら、

「良かったら帰り、うちらとお茶しない?」
と、KとFから意外な声をかけて貰い、

一緒に話す事が多くなったのだが、ここからが、私の苦しみと、変化の始まりだった。

Fは、霊感が強く、恐らくHSP気質もあり、いつも顔色が悪く、体調を崩しやすかった。

そんなFと、親友のKは、いつも心の中の深い部分の話をし、本音で語り合っていて、パートナーという感じに見えた。

私も、彼女たちの洗礼を大きく受け、それまで、実家ルールに囚われ、頭も固い私を、とことん、否定しまくる。
私の深い所に入る能力がFにはあるので、時には、亡くなった私の父が、私に伝えたかった言葉を教えてくれたりもした。

3人で合う度に、本音で何時間も気持ちを話す、それに対して、考え方の偏りを指摘してくれたり、という時間を、過ごしていた。

Fは、霊感が強い事もあり、強いストレスで突発性難聴を患い、数ヶ月仕事を休んだ。

その間、心配だった私は、Fにメールをしたのだが、それがとても彼女の地雷に触れてしまったようで、

かまわないで!放っておいて!ソッとしておいて!という言葉だけでは無く、色んな感情を、ぶつけて来た。

Fは、母親にとても過保護に育てられ過ぎて、母親に対して、反発心が強く、心配され過ぎて生きて来たから、心配されると、母親を思い出して嫌らしいのだ。

Fは勝手に、私を自分の母親と重ね合わせてしまっていたようで、ずいぶんと、理不尽に当たり散らされる事があった。
 
私に対しては「いつもニコニコして人に合わせているから、あんたの本心がわからない。
信用できない!」などと、言いたい放題だったので、 

それなら…と、本音を言わせて貰った。

「それじゃぁ言うけど、私は、あなたのお母さんでは、ありません!そして、あなたの事ばかり考えている程、暇ではありません!
自意識過剰なんじゃないの?!」
と、生まれて始めて、ストレートに人を傷つけてしまうような発言をした。

それに対してFは思いっきり笑い、
「始めて本音が聞けた!そんな風に、心の声、出して良いんだよ!その方が、信頼できるよ!」と…

仕事が終わってから、深夜までファミレスで、セッションみたいな事を、3人でする日々が、結構、私の視野を広げる事になった。

仕事の人間関係、接客業でのクレーム処理、苦手部門の担当でのストレスがマックスになり、重度のうつ病になった。

毎日、大量の指示書を読ま無ければいけないのに、日に日に文字が読めなくなってしまったのだ…

もう限界を超えていたので、仕事を辞めた。

私より先に、FとKもそれぞれの事情で辞めていたので、それ以降、Fとは一度も連絡を取っていない。

Fは、過保護なお母さんからの卒業、私は、過干渉、束縛、抑圧的、潔癖症だった父からの卒業という課題。

Fと私の乗り越えるべき課題がとても似ていた為、お互いの地雷を踏み合って、とてもシンドかったのだと思う。

今は、どうしているのか全くわからないけれど、あの時の経験がなければ、今の私の成長は無かったとおもう。

辛い5年半の経験も、何一つ無駄な事は無かった。

もう二度と会いたく無い…見たくもない…と思った相手は、もしかしたら、自分の鏡だったのかもしれない。

この出会いで、今まで飲み込んで来た気持ちを少しずつ、アウトプットする事、自分と向き合う事の大切さに気づかせてもらった。

言葉に出す前に、
一度飲み込んでしまう癖についても
「今、考え中なので、ちょっとお待ち下さい」

「あの時、ホントはこう言いたかったんだけど、こんな風に思ってたんだ」

などと、まずは声にだして伝える事の大切さを教わった。

向き合って、セッションしている時間は、自分と向き合い、言われたくない事も言われ、
しんどかったけど、
今となっては、とても貴重で有難い出会いに、感謝の気持ちでいっぱいだ。