火曜日のゲキジョウ 江本真理子一人芝居×遊戯三昧 を観て

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火曜日のゲキジョウ 江本真理子一人芝居×遊戯三昧


またまた記憶を振り返ろう大作戦。

毎週火曜日、2作品×30分の作品を上演。
演劇がサクッと観れるんですって。なんて素敵だろう。
こういう気軽さで観れると楽しいよね、定時で来れるといいなあ…そんな生活したいなあ…(前職は最高で残業70時間越え)。
愚痴は置いておいてですね、お仕事帰りなんだろうなという方も実際ちらほらといました。
(以下、お名前は敬称略です)


江本真理子「リッちゃんと大なり小なり」 作・演出 竜崎だいち

思えば恐らく、一人芝居を観るのは初めてだと思う。
たった一人で世界を成立させる行為は、その世界に入り込みすぎても俯瞰しすぎてもできることではなく、その危ういバランス感覚が求められるものなんだな…と素人ながらですが思いました。

主人公は狭い路地に入ったところで、知らない場所に…でも知っているような場所に立っている、というところから始まる。
祖母、ペットの犬、親友。いろんな意味で今はいない人達を思い出し、ひとつひとつの鮮明な思いを丁寧に解きほぐしていく。
セミの鳴き声、黄色い空…という夏の空気感は、人を切なくもあたたかな気持ちにさせる。少し、早めのお盆が来たような気持ちになる作品でした。


遊戯三昧「きわめて純情デート ギィ・フォワシィより」 演出 盛加代子

男と女がベンチに座って、恋バナをしていて…いやそれ嘘なんでしょ、と思っていたら、それはただの嘘というより想像というか、妄想、願望、欲…。最終的にはおままごとのような。男女の会話が変容していく様をコミカルに描いていて、面白かったです。

パンフに遊戯三昧の言葉として、このようなことが書いてありました。
「2022年の日本では、特に若者の貧困率が高まっており、(中略)そんな現在とこれからを生き抜いていくために、私たちに必要なものは何だと思いますか。」
…必要なもの、私は全然わからないでいます。
若者の部類にいて、絶賛転職活動中で、日々何だかスゴイことをやり遂げる友達や、結婚や子育てをする知り合いがチラホラいて、将来が意外と目の前にあって、でも「それなりの大人」の自信が未だにないです。特にお金の心配はつきない。
頭の中で想像するのは、どんなものでもタダ。それを良いことに、子どもの頃は「想像すること」だけを推奨された気がする、誰も「想像」を実現するために必要な力や方法を教えてくれなかった。子どもではなくなって初めてそれに気が付いたけど、今度はもう「現実を見なさい」と言われた、気もする。
現実から逃れるために、想像力だけが一丁前に鍛えられてしまったのかなあ。
そう思ってしまうと、この作品はなかなかに楽しく素直に笑えないのかも?

…なんだか、暗く私的な感想になってしまった。でも楽しかったよ!笑
30分作品を2本観れるの、本当に満足感があって良かった。お腹いっぱい。

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