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人材・組織~ワークショップで理解を深める

2020年6月24日(水)のMBA Essentialsのレポートです。

今回は、杉浦 正和先生による、
「人材・組織~ワークショップで理解を深める」
です。

杉浦先生に関しましては、下記を参照ください。
https://www.waseda.jp/fcom/wbs/faculty-jp/6065

今回は、下記の内容でお話しされました。

- 実践と学術のバランス
- 持論⇒議論⇒理論
- 人材・組織 x 管理・開発の4つの領域
- 新型コロナ後の未来

一つ一つ説明していきたいと思います。

● 実践と学術のバランス
こちらは、実践と学術のバランスを見極めて最適解を出す、という話です。
実践に偏り過ぎると論理の裏付けが薄くなりますし、学術に偏り過ぎると実践で起きる問題に対処できなくなるので、そのバランスを取って最適解を出す必要がある、という話です。

個人的に面白いと思ったのは、「なぜ組織は存在するのか」、という話です。
ノーベル経済学賞を受賞したOliver Williamsonという方が提唱された内容で、

組織は「取引費用」を下げるために存在する

というものです。

取引費用、とは、物を買う時に、実際に購入すること以外にかかる費用のことです。普通にリンゴを買う、とかだと大したことはないですが、他の人に業務を依頼する場合には、契約を交わしたり、その人が業務を出来るかどうか調査したり、ということに時間やコストを支払うことになります。これを全部の個人に対してやっているとものすごく無駄が生じるので、「組織」という枠組みを作って、その中では、信頼して任せることで、取引コストを激減させる、という内容です。

学術的に言うと、取引コストと言いますが、実践では、どう信頼を構築していくか、ということになります。
講義の中では、具体的に信頼を構築していく方法、というところまでは踏み込んでいませんでしたが、こういった学術的なバックグラウンドがある中で、それをどう実践で実現していくか、というのを考えることはとても重要だと思いました。

● 持論⇒議論⇒理論
こちらは、人の意見にはばらつきがあるから面白く、それを議論していくことで実務的に使える理論に仕上げられる、という話です。

あるテーマがあった時に、意見がばらつかないと議論にならず、そのままで結論が出ておしまい、なわけですが、実際には、ばらつきが出てくることが多いです。そして、ばらつきが出てきた時には、議論することで、下記のような分析をすることが可能となります。

- なぜばらつくのか?
- どんな人はどんな傾向を持つか?
- どんな因果関係で?
- どんな条件のときに?

ここが明確になっていくと、みんなが使える理論に落とすことが出来るようになります。
こういう形で最初は「持論」に過ぎなかったものが、「議論」を経て、「理論」になっていく。また、それを繰り返すことで理論が洗練されていく、ということでした。

● 人材・組織 x 管理・開発の4つの領域
こちらに関しては、まず、

「人材・組織」は、新しい知識を取得するというより、経験したことを整理するタイプの内容になる。また、それを共有するためには「言語化」が必要。

というところがまず最初にあり、それを整理する上で、人材・組織 x 管理・開発のコンビネーションで、

- 人材管理
- 人材開発
- 組織管理
- 組織開発

のような4つのカテゴリーで考えていく、ということかな、と思いました。

ここで、「管理」と「開発」の差なのですが、

管理=なんとかする・きちんとする・整理整頓する⇒収束
開発=開発・発展・展開・発育・育成・成長・発達・達成⇒発散

といった感じで、管理=収束、開発=発散という風に捉えるとよいと思います。

大体想像できるとは思うのですが、こちらもどちらかに偏り過ぎるとよくないので、その間のバランスをどうとっていくか、何が最適かを経験からどう整理していくのか、というのがポイントだと思いました。

● 新型コロナ後の未来
こちらは、新型コロナにおいて変化するもの、しないもの、また、業界・業種による違いや、より加速するもの、というのを捉えてビジネスをしていくことが重要、ということだと思います。

今は、before-coronaに戻るのか、after-coronaのままで行くのかの綱引きが色んなところで起きているわけですが、実際、新型コロナにおいてリモートワークなどを強制的にやることになって、働く人や世間の意識も大分変わってきたところがあります。

例えば、下記のような観点です。

- オフィスは本当に固定費に見合うほどの効果があるのか?
- 全国支店長会議は多額の費用をかけて全員一つの場所に集合する価値があるのか?
- 通勤のコストは本当に価値があるのか?
- リモート営業が進んでくると、余った移動時間を何に使えるか?
- 出張は本当に必要か?
- 集合研修は本当に必要か?リモートの方が全国から参加出来て効率が良いことがあるのでは?

その他にも、下記のような変化もあります。

- 出社日という言葉=出社しないことが標準
- 「会社に行く」⇒「(在宅なので)働く」(行くことが働くではなくなる)
- リモートワークはツールを自分で使いこなせないといけない=ソロ化・プロ化が進む
- フラット化(会議の席順とかない)

こういった変化の中で、本当にbefore-coronaに戻ることが良いことなのか、を考えることが重要だし、逆に、本当にbefore-coronaに戻らなければいけないものは何か?それはなぜか?というのを考えることが重要だと思いました。それを考えることで、将来的にどういう世界に落ち着いていくのか、どういう風にビジネスを構築していくのか、が考えられるのだと思います。

今回の講義は、答えを出す、というよりは、考え方の軸を持つ、という話でした。この軸を元に、議論して深めて理論に落とし込んでいく重要性を学んだ回だと思います。杉浦先生、どうもありがとうございました。

次回は、7/1(水) 「MBAイントロダクション春」(内田 和成先生)です。
(新型コロナでオンライン開催になった影響で、イントロダクションが後ろになりました)

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