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小学生に、『地獄先生ぬ~べ~』の呪文を思い切り叫ばれた件について。

 その朝、私はいつもの如く待ち合わせた友人と、学校に向かう途中でした。
 最初の信号を渡り切って歩き出したその時、
バタバタバタッ
と、数メートル先にいた小学校1、2年生?ほどの少年が、何を思ったのか突然こちらを振り返って、駆け寄って来たのであります。

(なんだ……?)

 少年は、最初から狙いを定めていたかのように、私の方へピタッと立ち止まると、

「光明遍照(こうみょうへんじょう)現威神力(げんいじんりき)魔界鬼界(まかいきかい)

 なんと、私の目の前で呪文を唱え出したのです!

降伏怨念(こうふくおんねん)不思議力(ふしぎりき)悪霊退散(あくりょうたいさん)」

(と、ここで左手にめちゃめちゃ力を込めて、私の方に、勢いよくパーを出してくる少年)

「くらえ、強制成仏!!」

 少年は私の顔をチラッと見ると、実に晴れ晴れしい様子で、傘を引っ提げて走り去っていきました。(とんと昔の事なので、セリフの詳細は定かではありませんが、確かにこんな感じでした)

「……」

「…………」(友人と顔を見合わせた私)

「………………」

 いや、誰やねんお前っ!。タイムラグ発生後、私が思ったのはまずそれでした。少年の素性を、私は全く知りません、ほんと誰。
 あっけに取られた後、なぜに私だったのかと、私の中に沸々と怒りが湧いてきたのであります。
 そう、1/2で選ばれた何とも言えない悲しみが、私を襲ってきたのです。


 ところで皆さんは、『地獄先生ぬ~べ~』をご存じでしょうか? 
 知らない方のために、簡単にWikipediaさんから引用させていただくと、以下のような具合であります。

「鬼の手」を持つ霊能小学生教師の「ぬ~べ~」こと鵺野鳴介が児童を守るために、妖怪や悪霊を退治する学園コメディーアクション。

 その当時、実写版が日本テレビの10月期土曜ドラマで放送されており、子供たちの間で鵺野先生のモノマネが大流行りしていたそうな……。ちなみに、主役の鵺野先生は、関ジャニ∞の丸山隆平さんが演じられていましたが、その際に妖怪を退治するセリフが、先ほどのあれであります(原作とアニメとも呪文のセリフが異なるらしい)。

 もしかしたらあの時、私には何かが憑りついていたのかもしれない。昔から妖怪好きではありましたが、その後妖怪を研究することにもなりました(なお、これとは直接的な関係はない模様)。

 そして、今になって思うのです。
 なぜ、成仏されたリアクションをしてあげなかったのだろうと。
 今ならめちゃ自信あります。ぐはぁあrっぐぃぎあjふぃあ(自主規制)

 ともあれ、これが私の中で鮮烈な印象を残している、忘れられない思い出の1つであります。

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