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留学1ヶ月目 思ったこと・問われたこと

初のnoteの投稿。
同期の記事に触発されて私も書いてみようと思う。


1ヶ月のハイライト

留学先のMcGill University。正面に見えるのはRed Path Museum。本当に綺麗。

現在通うMcGillのキャンパスは本当に美しいし、モントリオールという街の便利さ安全さ快適さも生活する上で凄く良い。目的としていた「学び」に関しては後々詳しく書くけれど色んな意味で非常にinteresting。

関わる人たち皆んなフレンドリーだし、何より今住んでいるところのroomie(ガール達:私含め2人日本人/3人フレンチ)との生活が自分に合っていて何もストレスなく、むしろ癒されながら幸せに過ごせている。友達作りに関しては、正直作りやすいと言われる言語のクラスを取っておらず、Political scienceで固めてしまったのでやや苦戦したけれど、どの授業やランチタイムでも寂しさは感じずにクラスメイト(ゆくゆくは絶対に友達だ!)と過ごしているので大丈夫!

物価は他のヨーロッパ、アメリカ圏と比べるとそこまで信じられない価格帯ではないし、外食は高いけれど生活必需品や自炊代で見ると納得行く感じなので文句なし。行政サービスや制度面では、渡航前のVISAが降りない件に関しては非常にstressfulだったけれど、カナダは対応早いし基本的にみんな丁寧に教えてくれるからこちらも問題なくやれてる。

レバノン料理のお店がすごく多い。
あとポキ丼のお店もよく見る。お陰様で白米が案外恋しくならない。

想定とのギャップ

私にとって今回のカナダ留学は初の長期海外。東京生まれ東京育ち21年目の私にとっては初となる長期海外。だからこそ、よく留学界隈で言われる異文化体験、価値観の拡張etcを痛いほど感じるんじゃと想定していたけれど、

"案外日本もカナダも予想より変わらない"

というのが正直な感想だった。
もちろん、以下、ああやはりカナダ、他国だなと思うところはたくさんある。

・授業のアウトプットの高さと予習復習の重要度の高さ
・教授の教え方、話の仕方の工夫や生徒に飽きさせずに教える技術
・仕事と遊びのメリハリの付け方の上手さ
・モントリオール(公用語がフランス語のケベック州)だからこそ、最初に「Bonjour/Hi」と仏英両方で話しかけてくれて、相手の返す言語に合わせて対応してくれるバイリンガル具合。(どうやらカフェのウェイターであっても採用要件に仏英両方いけることが求められているとか…)
・赤信号でも余裕で渡っちゃうし、雨の日でも傘差さない人多数
・就活?卒業後にやるものじゃないの?というのがフレンチの意見でした。

いずれも日本とは決定的に違うし、6~7割は白人だからやはり自分が日本人であり、アジア人であるということを毎日実感する。それに大人数が集まるパーティーだと走り出しは、やはり人種でどういう訳か分かれていく辺りもhomogeneous(単一民族国家)な日本では感じられない新鮮さだった。

とは言いつつ、"案外日本と変わらない"と感じたのはなぜなのか。
その理由は至ってシンプルで、外の世界(あくまで日本、特に東京から見た他の環境)への自分のバイアスがすごく偏っていたから。

全く関係ないけれど、McGill周辺のガーデニング、センス良すぎて目の保養。

バイアスまみれの想定…

・海外ガールはもっとイケイケでガツガツしてるイメージだったし、
・「日本人です」って名乗れば、観光やアニメの話の次に、政治や文化の解説が必要になると思っていた。
・自分はhome universityで政治学を専攻しているからか、海外の方が全体的な若者の政治意識がすごく高くてしょっちゅう議論をしているイメージだし、
・授業の質と内容に関して日本よりも海外大学の方が圧倒的に濃くて専門性が高い
・治安において日本に勝るものはないとか…
・カナダは多文化共生の国。移民と元から住んでいるカナダ人の間に職業の差がないイメージ。
などなど無意識的に感じてた留学先への印象は、書き並べてみるとかなりステレオタイプの塊みたいなイメージだったらしい。鎖国中の江戸時代の人かしら…?

実際の空気感

ただ実際は日本もカナダも変わらなくて、
・イケイケガツガツ、クラブ大好き系のボーイ&ガールはかなり一部。結構静かめだったり、勉強一本でサークル活動に入らない生徒が結構いる。あと、みんな授業終わると速攻図書館か帰宅してる印象。
・「日本人です」って政治学系の授業で自己紹介しても、特段掘り下げられることはない。(授業の文脈でJapanese econ/government/politics〜などなど、具体例として日本が出てきた時に、教授から猛烈なアイコンタクトを受けているのはおいておこう…)
・学生団体(部活動)として反戦活動のクラブがあったり、正門の前でしょっちゅうデモ活動をしているという点では活発。一方で授業での口論まがいの議論対立や、国のアイデンティティを全面に出して議論というシーンはあまり見ない。
・モントリオールの治安はすごく良い。(賛否両論あるけど、私はダウンタウンの感じは、結構東京の日本橋とか大手町とかと似ていると主張したい。)
・職業とnatioalityに関しては、想定通り、業種のゾーンと人種の比例性がある。

などなど日本と大差ないというのが結構印象として強かった。
どの国であっても恋愛ネタと勉強大変だよねのネタは万国共通で、性格のグラデーションは日本人もフレンチもカナダ人もみんな持っている。社会や国レベルで言えば、日本とカナダは真面目で丁寧な国民性が似ていると思うし、国際関係・安全保障上での立ち位置、考え方で共通する部分があるからこそ、そもそも極端に”異国”という感覚が薄く感じられたのだと思う。

ダウンタウンの様子。ショッピングモールが多い。

問われたこと

1ヶ月の率直な感想や、想定とのギャップとは別に強く印象に残ったエピソードがある。考えさせられたのは、そのうちの一つの授業での教授のアドバイスと、留学生対象パーティーで言葉を交わした留学生のリアクションだった。

"日本人としてのアイデンティティはこの空間では唯一なのだから恐れずに発言しなさい。"

”日本とドイツは戦後の脅威的な成長戦略を見せた唯一の国"
ハリーポッターのスネイプ教授似のレバノン人とパレスチナ人のハーフの教授という、なんとも形容詞がたくさんつけられる先生が述べた言葉。カナダで習う国際関係論において、日本がどう説明されるのかはずっと興味があったことだった。
教授を含め彼らにとって政治学における日本の印象は、やはりバブル期と戦後復興に向けられており、現在進行形で語られるアジアは中国の台頭と外交政策。日本の特異性は目まぐるしい経済成長を果たした時代だと、毎度説明される。

同時に、日本人として自分が説明することが相手にとっての日本に対する認識を形成すること、自分の発言と理解の重み・責任を感じた。たとえ議論相手が10人であろうと、生涯において日本に来るか来ないか分からない相手に、「正しいとされる理解」を日本の姿として説明する難しさを痛感した。
スネイプ似教授は「自分のレバノン国籍とアクセントを知っているでしょう?あなたがjapanese-accentを恐れる必要なんてない。伝えることが肝心なのであって、あなたが日本を伝える過程に意味がある。たくさんシェアしなさい。」というアドバイスをくれた。彼のアラビアンアクセントは確かなものなので(ごめん教授…)、妙に説得力を感じ、背中を押された言葉だった。

そして、ある留学生との会話が鮮烈に心に残っている。

"どこ出身なの?"
私:”日本だけど、あなたは?"
”パレスチナ、何を学びに来たの?”
私: "国際政治だよ"

"ああ、そう…"

スネイプ以上に、私が感じるには偲びないが、なんとも言い難い痛みを覚えたのは留学生との会話だった。互いに自己紹介する文脈で、パレスチナから来たという彼女に対して、「私は日本人で国際政治を学んでいる」と返した後の、彼女の失望感と期待感のなさを含んだような一瞬のリアクション。同じ感触は、過去にシリアから転々と国を移動している運動家との会話でも感じたものでもあった。

彼ら当事国に対する日本や他国の態度を、彼らがどのような目で見ているか、一個人レベルで感じたのと同時に、なんと答えるべきかわからなかった時点で、自分自身が誰であるのかを問われているようにさえ思えた。

誰であれ、その人が住んできた場所、国によって形成されるその人ならではの価値観と、マクロなレベル(国の方針レベル)での価値観は必ずしも一致しない。けれどその不一致はそのままにしておいて良いのだろうか。
私は、個人として、いまだにあの時なんと返せば良かったのかわからない。
この留学期間、やはりモントリオールという土地柄、カナダ、アメリカ、フランス圏からの学生が圧倒的に多いが下手なバイアスは持たず、丁寧に対話する、相手の言葉を引き出す、そして理解して咀嚼してこちらも返す。その過程の中で、帰国までに何らかの答えを見つけたいと思った。

大学の校舎。9月は25度くらいでほとんど晴れ。たくさん太陽摂取できて嬉しい。

まとめ

ここまで徒然なるままに長く書いてきてしまったけれど、毎日とりあえず健康に楽しく、たくさんのことをワクワクの目で見ながら吸収できている。
カナダ、モントリオールという新天地。環境の変化や荒波に揉まれる感じではない分、落ち着いて、滔滔と残りの8ヶ月、存分にこちらの空気を吸いながら、自分のペースで吸収し、学び、たくさんの人と会話と対話を重ねながら心の厚みをつけていこう。そして考え続けよう。
そう思った1ヶ月目でした。

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