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鉄フライパンを使い続けられる理由

私は5年ほど前から鉄フライパンを使っている。それまでは、普通のテフロン加工だったり、絶対にこびりつかないなんとかコーティングのものを使っていたのだが、それらはコーティングが剥がれてしまうと非常に使いにくくなってしまう。
モノにもよるが、選ばなければそうそう高価なものでもないので、フライパンは消耗品と思って1年程度で使い捨てる、というのも大いにアリだと思っている。

それでも私が「使い捨てなくてもずっと使い心地良いフライパン」を求めたのは、ひとえに私がズボラなのと、ケチだからだろう。
まず、ダメになったフライパンを捨てるのが面倒なのだ。普通のゴミならば、週に何回かの可燃物の日にまとめて出してしまえばいいし、日常的なことなので何曜日、というのも覚えている。
しかしフライパンの場合はどうだろう?これは一体、何ゴミになるのか?ということを調べるところから始まる。いや、金属ゴミであることは知っているのだが、じゃあ他の金属と一緒に捨ててもいいのか?そもそもゴミの回収日はいつ?どの袋に入れて出すのか?など、よく分からないことだらけなのだ。
いや、自治体のウェブサイトを見れば一発で分かるのは知っている。しかし、その一手間が狂おしいほどに面倒くさい。
普段の生活を送る上で、「金属ゴミ」なんて滅多に出ないのだ。出し方なんていちいち覚えてはいられない。さらに言えば、指定ゴミ袋が満杯でないと出したくない。まだまだ入るのにゴミ出しするなんて、勿体無いじゃないか。そうなると、年に数個程度の金属ゴミを、私は一体何年溜め続ければいいのだろう。

一番問題なのは、だんだんコーティングが剥がれてきて、使い心地が悪くなってきても、一応フライパンとしては使えなくもないということなのだ。
そろそろ寿命かな、と思いつつも、穴が空いたわけでもなし、多少のこびりつきがあるとしても、料理することはできる。
まだまだ使える金属の塊を、たとえリサイクルされるとしても、捨ててしまうことに一抹の罪悪感もあるし、どうせゴミにしたところでそれは袋が他の金属ゴミで満杯になるまでずっと家に置き続けることになる。
代わりのフライパンだって、洗剤とかトイレットペーパーのようにストックしてあるわけでもないので、買いに行かなければならない。

そんなわけで、フライパンに関しては、フッ素コートが取れたら体に悪いとかそういうのを抜きにして、単純に私にとって「面倒くさい」道具だったのである。

今使っている柳宗理の鉄フライパンは、5年前のクリスマスに夫が買ってくれたものだ。
それまで使っていたのは、確か、ドンキで安く買った、マーブルコートとやらのフライパンだった。
最初の方は良かったが、私の扱いが雑なのもあって、だんだんこびりつきやすくなっていた。
そこで、新しくフライパンを買うにあたって、どうやらうまく使えば一生使えるらしいという鉄フライパンを導入してみよう、となったわけだ。


Amazonの販売ページ。当時よりも1000円ほど値上がりしていた

世の中、都合のいい話はそうそうあるものではない。フライパンに関してもそうだ。
何もしなくてもこびりつかない、軽くて丈夫で錆びない、手入れが簡単で一生使えて人体にも優しい、そんなフライパンなんて存在しない。
鉄フライパンは手間がかかるし、うまく使えなければ焦げ付きやすく錆びてしまう。
手入れが楽なテフロン加工のフライパンですら面倒くさがる私にとって、日常的な手入れが必要な鉄フライパンなんて使いこなせるのだろうか?
すぐダメにして、ゴミになってしまうのではないか?
そんな懸念も大いにあったが、クリスマスプレゼントなのだからいいだろう、ということで使い始めたわけだ。

なんだかんだで、あれから5年ほどが経った。
毎日の調理にはフライパンが欠かせないし、我が家にはたくさんのフライパンを置くスペースはないので、この鉄フライパンを毎日のように使い続けている。
最初のうちは、というよりはかなりの期間、失敗を繰り返してきた。
表面が錆びたこともある。
今でも失敗することもある。
しかし、金たわしで遠慮なくガリガリ洗える手軽さのおかげで、なんとか挫折せずに使い続けることができた。
焦がしても錆びついても、多少の手間さえかければ捨てずに元の状態に復活させられる、というのは、私にとってはストレスを感じずに済むし、心と体に余裕がある時に限るが、ガシガシ無心でフライパンを磨く作業は楽しい。
正直、プレゼントでもらったものだから、「やっぱやめた」で数ヶ月程度で捨てることも心苦しいというのもある。
そんな強制力(?)もあり、やっとここ最近使うコツのようなものがわかるようになってきた、気がする。
多少重いのも、家事で筋トレできるなら一石二鳥じゃん!というポジティブマインドで割り切れた。
というより、無理にでもトレーニングできる環境がないと、私はすぐに運動不足になってしまう。
鉄フライパンを使うと鉄分が補えて健康にいい、とかいう話もあるらしいが、そんなことよりも、物理的に重いものを持って腕を鍛えられることの方が、よほど健康につながるように思う。

フライパンに限らず、どんな道具も人によって向き不向きがあるだろう。
少なくとも私にとっては、テフロン加工よりも鉄フライパンの方が扱いやすかった(というかストレスフリーで使えた)というだけの話である。
フライパンを変えてから、料理の味が良くなったとか、健康になったとか、そういうのは正直分からない。
でも、私は色々な点でこのフライパンを気に入っているし、今後も使い続けるだろう。

本当はこの記事で、フライパンの磨き直しと焼き入れ直しをしたことを書こうと思っていたのだが、ことのほかフライパン愛(と私のズボラさ)を語りすぎて、2000文字を大きく超えてしまったため、また別記事にしようと思う。
多分、私のnote最長記事になった割に中身がなく、ここまで読んでくださった方には感謝と申し訳なさでいっぱいだ。


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