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リハビリ室まで怒鳴り込んできた。震えた。

家族「うちのおばあちゃんは寝たきりですよ!!それなのにこんなことさせているんですか!どういうことか説明しろ!!」

後にも先にも、身が竦(すく)む思いをしたのはこれが最初で最後でした。
喉が一瞬で砂漠化し、身は動かせず、ただ目の前にいる家族様の前で立つことが精一杯で、その場から逃げ出すことも出来なかった。

主治医と上司による仲裁でその場は収まった。詳しく話を聞いてみれば、病院の応対に不満があり、私の作った計画書が爆発のきっかけであったとのこと。その後、誤解は解け無事に退院された。

今回のテーマは【筋力増強訓練】

90代女性 ※廃用症候群(当時はこのような言葉は無かった)

ベッド上で寝たきり。声掛けにて振り向きや視線があうことはあるが、起き上がりなどには援助が必要で多分認知症もあった(精密検査していないため可能性としてあった)。

入職してまもない頃に作成したリハビリテーション実施計画書には、理学療法士が良く使う言葉ランキング上位に入るであろう

1.ROM(関節可動域)訓練
2.筋力増強訓練
3.ADL(日常生活活動)訓練

の文字があった。

その中の、筋力【増強】訓練という用語の使い方にご家族が怒鳴り込むきっかけがあった。寝たきりのおばあちゃんがダンベル持って筋トレしている姿を連想させたのでしょうね。

自分の家族がひどい扱いを受けている。
病状に合った適切な治療を受けられていない。
守らねば!!!

当時上司は、
「特におかしいところはないですね。計画書を作成する際はこのように表記します。」と後押ししてくれた。いや、後押しというよりも静かに冷静に相手の気持ちを逆なでしないように対応していたと言ったほうが正しいか。

主治医は傾聴に徹していた。
ヒートアップしていた家族様は次第に冷静になられ、病棟での自分たちの扱いに苛立ちを持っていたことを話された。後に、家族様と交換日記を行い、患者様のリハビリ状況を報告した。退院時には謝罪と感謝の言葉を受けた。

私は、いまだにこの出来事に大きな感謝を抱いている。
一方的なコミュニケーションによる悪影響、私の未熟さが生んだ出来事。

家族様の怒りの気持ちは、「私たちを大切に扱ってくれない」「ないがしろにされている」といった哀しみの変貌した姿だったのかと今も思い出す。

一般的には・・・、業界的には・・・、
などという枠とは別に、患者様、家族様の状況に合わせて言葉選び、説明の仕方、コミュニケーションの方法を選択できるように少しは成長したのかな?笑

などと昔を懐かしく思いながら筆を置くことにします。

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