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新人デザイナーがステップアップするためのチェックにおいてのコミュニケーション

この記事は、Craft Eggアドベントカレンダー2022、19日目の記事です。

株式会社Craft Eggでデザイナーをしている木山と申します。
サイバーエージェントへ2020年に新卒入社し、Craft Eggに配属。「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」に関わり出してから3年弱ほどになります。デザイン業務以外ではサイバーエージェントやゲーム事業部(SGE)の採用や育成にも関わっており、これまでに3人のトレーナーを経験しました。

「デザイナー」と「オペレーター」について

内定者や新卒のデザイナーを教育していく中、自身のデザイン経験も踏まえ、デザインの進め方に関して気付いたことがあります。フィードバックの扱い方によって所謂「デザイナー」ではなく「オペレータ」になってしまっていることがあるということ。本記事ではこれについて自戒も込めてまとめようと思います。
そもそも違いは何かというと適切なコミュニケーションができるか否か。つまるところ「オペレータ」はチェッカーの指示/指摘を忠実に再現すること(※)で、「デザイナー」はチェッカーの指示/指摘を咀嚼して自身で思考して柔軟に対応すること。どちらが正しいということはありませんが、Craft Eggのようなクリエイターにもオーナーシップを求める組織では後者の動きが適当だと考えています。
※本記事内での定義となりますので、ご了承ください。

「オペレータ」から「デザイナー」へのステップアップの過程で、つまづきがちなポイントについてまとめます。

理想的なフロー

ここで触れるのは本プロジェクトのようなクリエイティブに関して絶体的決定権のあるようなクリエイティブディレクターを立てていない、チェックフローが多いフラット型組織でのデザインの進め方に関してになります。

デザインを進める上で一番理想的な形としては、自分のできるデザインの表現範囲の中に各チェッカーの求めている項目が適切に含まれている以下のようなシチュエーションになります。

こう言ったパターンでは、それぞれの意見が重なる部分を正確に打ち抜ければ難なくFIXまで持ち込むことは可能です。しかしながらこのようなパターンは理想論であって必ずしもこういった形になるわけではありません。

なぜ迷走するのか?

チェッカーの言う通りにデザインをし、クリエイターとして様になってきたとき、以上のような理想的なフローにならないイレギュラーこそが迷走の要因になっていることが多いです。ここを乗り切れるかどうかを「オペレーター」か「デザイナー」の判断材料として考えています。
新人デザイナーが迷走するパターンについては、大きく以下3つのシチュエーションがありました。

シチュエーション①:チェッカーに求められているものが自分のデザイン表現可能範疇外にある

分かりやすくスキルの問題なので、必ずしも即時自己解決できるものではない例になります。インプットし直す、またアイデアをもらったりと先輩デザイナー達にある程度誘導してもらう必要があります。

シチュエーション②:一つの案に固執してしまって、視野が狭くなってしまっている

自分の中での正解に固執しまっているせいで、視野が狭くなっていることに起因します。
デザインの正解は必ずしも一つじゃないのですが、分かりやすい一つの正解が見つかったが故にそれに飛びつきがちです。各チェッカーの意見が明らかに一貫しているわけではない場合、共通の要求である狭い範疇を正確に打ち抜くのはかなり難しかったりします。
ヒヤリングやインプットを重ね、他の答えを探るといった形で解決できる例が多いです。

シチュエーション③:チェッカーの求めるものに一貫性がない(と思っている)

そして一番よくあるパターンがこちらです。理解力、解釈が足りないが故に起こる事象です。クリエイターとしての経験が浅いうちは「みんな言ってることが違うから進められない」となりがちですが、こちらはコミュニケーションで解決できることが多いです。
チェッカーへのヒヤリングが足りない、理解力が足りない。つまるところフィードバックの意図を正確に理解できていないことで、顕在的なグッドしか見えていないことで起こっています。言われたことを咀嚼して解釈を広げて要求の本質を見極めることで、潜在的なグッドを引き出すコミュニケーションが必要になります。
ポップなのがいいっていってるってことは?カラフルなのがいい、まるっこいのがいい、親しみやすいのがいい…などと解釈は広げることができると思います。解釈が広がるとデザインの可能性が広がります。

最後に:コミュニケーションだけでチェッカーの求めていることを完璧に読み取れるわけではない

3つのシチュエーションについて触れ、デザイナーにおいてのコミュニケーションがどれだけ大切さかをお伝えしましたが、実際どんだけ丁寧にヒヤリングしても言葉だけで要求を完璧に理解することは困難です。説明しやすくするために線引きしましたが、実際はこれくらいはっきりしない線で、正確に打ち抜いたつもりでも何かずれていたりとプロでも一発で正解を出すというのは難しいものです。
その点を数でカバーする必要があるからこそ、たくさんのアイデアを出す必要があり、クリエイティブ幅広く出すための表現力やそれを短時間で出すためのスピード感が求められます。

まとめ

新人デザイナーが脱オペレーターを目指すためにはスキルはもとより適切なコミュニケーションができることが大切です。
「スキルがなければ、そもそも価値のあるものが作れない」という意見も間違いではないと思いますが、仮に高いクオリティのデザインが作れたとしても、チェッカーにうまく説明できなかったり、チェッカーの意図と食い違ってしまったら元も子もないと自分は考えます。
コミュニケーションは、人と対面して「話す」「聞く」「考える」という行動がともなうので、早く成長するには、現場での実践を繰り返していく必要があるので、新人デザイナーはよくつまづくポイントではあります。

適切なコミュニケーションとれないとせっかく身につけたスキルを発揮できる機会が減ってしまうこともあるので、コミュニケーション力を身につけることで、頭ひとつ抜けたデザイナーを目指せたらいいですね!



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