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4月からCMプロダクションに入社して「よし!今日から俺はクリエイターだ!」と意気込んでいる新人の皆さんに贈る言葉

まずは15秒、このCMをご覧ください。


なんてことのない極めてフツーのCMです。

ですが、実はわたくし、あることに気づいてしまいました。
それはラストの2カット。


このCMの企画や制作がいつ頃行われたかは知りません。
でもそのプロセスの中で、ラスト2カットの表現どうする?という話し合いが行われたであろうことを、勝手に推測します。


オンエアは2023年4月。
2023年4月から自転車でのヘルメット着用が努力義務となる。
CMのコンテには香取慎吾が自転車に乗るシーンがある。
さて、香取慎吾にヘルメットを被らせるか被らせないか。

その結果として、赤いヘルメットを被ったシーンが登場することとなったのです(あくまでも勝手な推測です)


熱い想いをたぎらせてプロダクションに入社したCMクリエイターを目指す皆さま、ヘルメットを被らせるのはカッコ悪い、風に髪がなびくのが美しい、とかの個人的思いはいりません。
広告クリエイトとはそういうものです。

キャラクターやバックボーンを必要としないCMならばまだいいです。
でもドラマや映画のように、ひとりの個性ある人物として設計して、こいつは絶対自転車乗る時ヘルメット被らない、というキャラクターとして登場する人物がいます。
でも、努力義務となった4月以降、自転車のシーンにヘルメットなしじゃマズイだろ、と內部から大きな声が押し寄せてくることだってあり得ます。

そうした時にどういう言葉で闘うのかを今から考えておくのもクリエイティブと言えます。

昨今の次々と押し寄せてくるコンプラ的なものと闘うのか、逃げるのか、悩みどころです。


にしても、「努力義務」なる言葉はこれ、発明ですね。
義務を果たす努力をせよ、と。

マイナンバーにしろマスクにしろ見事な手口によりひとつの方向へと導いていくこの手法は、日本人の大発明なのかもしれない。

そしていつか、義務を果たす努力を続ける人が増えて、義務だけが残る、そんな未来が待っている。


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