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ワードローブの森の中から(48)「開襟シャツを着るタイミング」

 これまで、何度か開襟シャツの話を綴ってきたかと思いますが、開襟シャツを着るタイミングについては、綴ってはこなかったはずです。
 冬物をシュリンクして、夏物を取り出すと開襟シャツたちは皺だらけで「こんにちわ」と顔を出します。私は「おー!久しぶり!この夏もお世話になるからね!」と、彼らをシワ取りがてら洗濯機に放り込みます。乾燥して、綺麗に畳んでワードローブの取りやすいところに置いて、さらに「よろしくね!」などとつぶやきます。
 ところが…。衣替えをすると、必ず気温の高低差が激しくなり、最高気温が20度前後の日々が続くわけですね。マーフィーの法則です。桜の木も豊かな緑をフィーチャーし、街を歩けば気の早い海外からの旅行者はTシャツに半パン姿なのですが、流石に「それ、ちょっと寒くない?」と、私は怪訝な目で彼らを見つめます。散歩から帰宅して、ワードローブをふと見ると、我が開襟シャツが今か今かとお待ちです。悪いなぁ…5月下旬かなぁ、それとも6月かなぁと、私はごめんね感満載で開襟シャツたちをなだめます。彼らは、優柔不断な私に、黙りこみながら「だったら、もう少し眠らせろよ!」と無言の抗議をするわけです。
 毎年、開襟シャツを着るタイミングは本当に難しく、開襟シャツたちにすれば、私の身勝手なわがままに付き合わされ、翻弄されているわけです。
 今年こそは!と思いましたが、今年もまたフライングで、我が開襟シャツたちは、ブーたれています。
 夏よ来い!それしかありませんが、何十年経っても梅雨寒むというのがあるのをすっかり忘れている私は、今日もまた、開襟シャツたちを横目に、「ごめんな」と誤って、その日を終えます。はぁー。早く着たい!中嶋雷太

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