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悲しきガストロノームの夢想(48)「大阪箱寿司」

 寿司と言えば、東京では握り寿司だけれど、京都生まれ京都育ちの私にとっては箱寿司、巻き寿司、鯖寿司そしてちらし寿司がお寿司でした。さらに、京都で箱寿司といえば鱧の箱寿司だったのですが、社会人になり大阪の箱寿司に出会うや、私は大阪の箱寿司の虜になりました。(掲載した写真は駅弁の大阪箱寿司です)
 さて、その歴史ですが、農林水産省のウェブサイトに箱寿司の歴史について次のように書かれています。「もともと庶民の間で鯖や鯵など大衆魚が用いた押し寿司が親しまれていたが、明治時代に船場の寿司店「吉野寿司」が鯛、えび、あなごなどの高級食材をふんだんに使った箱寿司を考案。コンパクトな箱の中に一口サイズの寿司が色とりどりに並ぶ箱寿司は、芝居見物の幕間弁当や手土産として最適であったため、船場の旦那衆から絶大な支持を受けることとなり、やがてもてなし料理の定番として大阪全域に知られるようになった」
 つまり、明治時代になり大阪船場の寿司店「吉野寿司」さんが始まりのようです。
 さて、この大阪箱寿司はなんと言ってもその彩りです。視覚でまず味わえる食としては、かなり上位にあります。揚げたての豚カツ、ざるに置かれた蕎麦、くつくつ煮えたすき焼き…など、視覚でまず味わえる食は数々ありますが、大阪箱寿司ほど彩り豊かな食はないと思っています。そして、その寿司職人の美学に惚れてしまいます。
 もちろん、味わいも素晴らしく、海老や鯖や卵焼きや…調理する姿をいつの日か見させてもらいたいと願っています。年内に京都に帰ったら、大阪にも足を伸ばそうと画策中です。中嶋雷太

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