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私の好きな映画のシーン(14)「ビッグ・ウェンズデー」

 本作品が日本公開されたのが、1979年の春。その一年前の1978年6月にサザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」が、1979年3月に「いとしのエリー」がヒットしました。1976年に創刊された「POPEYE」はすでに私のバイブルとなっていて、アメリカ西海岸の大学生文化、そしてサーフィン文化が憧れとなっており、サザンオールスターズの歌う湘南はとても魅力的なブランドになりました。そんな世の流れのなかで、「ビッグ・ウェンズデー」が公開されました。
 当時、京都の実家住まいで大学に通っていた私にとり、海はとても遠く(海水浴といえば琵琶湖でしたから^_^)、岡サーファーならぬ盆地サーファーでした。
 半パンにTシャツ姿でXL250(ホンダのオフロード・バイク)に乗り大学に通う日々、発売したてのウォークマンでサザンオールスターズの曲を聴く盆地サーファーは、「エンドレスサマー」で一気に盆地サーファー化にのめり込んだように思います。青春とは、お馬鹿です。
 そんな、気楽でお馬鹿な盆地サーファーの私でしたが、「エンドレスサマー」で描かれた青春像に、生きるための大切なことを学んだように思います。
 サーフィンが大好きな若者たちがやがてベトナム戦争に徴兵され、分別ない享楽的な青春が突然停止します。そして、数年後、ベトナム戦争を引きずったジャックがこの海辺の街に帰ってきます。そして、あのビッグウェンズデーがやって来ます。昔の仲間、マットとリロイとともに、サーフボードを持ち、浜辺に立つ姿。
 なんでもない青春サーフィン映画だろうなと思い映画館に行った、お馬鹿な盆地サーファー気取りの私は、シンプルに感動しました。
 子供のころから、映画好きで、どちらかというと、静かに感動を楽しんでいた私でしたが、改めて映画というものは、良いものだと、その三人の姿を心に焼きつけました。
 さて、2022年。
 三つ子の魂だろうと思いますが、未だにあの三人の姿は、心に焼きついています。海辺に行き、ぼんやりサーファーを見ていると、たまにその三人の姿が思い出され、お馬鹿な盆地サーファーだったころの私が切なくなるほど、愛おしくなります。中嶋雷太

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