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マイ・ライフ・サイエンス(37)「猛暑・豪雨あとの蚊」

 蚊が大嫌いなので、このnoteでは度々蚊の話を綴っています。心理学用語でインビバレンス、まツンデレみたいなものなのかもしれませんね。
 先日テレビを見ていると、今夏は猛暑日が続き、ゲリラ豪雨などもあり、蚊の姿が見えなかったけれど、この秋は蚊が大量発生するかもしれないというようなことを話していました。
 確かに、蚊は25度から30度ぐらいでブーンと元気づくようですから、最低気温でさえ30度弱の日々が続いた今夏、ましてや滝のような雨が突然降ったり台風がやってきたりしたので、蚊にとってはタフな夏だったに違いありません。
 しかし、とはいえ、蚊が大量発生する為には大量の卵が生まれていなければならないのですが、これだけタフな夏の気候をどうやってかい潜ったのかと疑問も湧いてきます。
 蚊にまつわる小説を昨年から執筆しているのですが、その際に読んできた蚊にまつわる資料によれば、そして私の私見で言えば、その大量の蚊の卵は都市部の地下に眠っているのではないかと考えています。例えば、地下鉄のトンネルの中や下水道の暗がり、そしてマンションやビルの暗がり。
 自然界でも大木の穴や岩の隙間などがありますが、今夏の高温や大量の雨や強風で、自然界に産み落とされた卵はかなり打撃を受けていると思いますが、一方で都市部では猛暑や豪雨を避けるに適した環境があり、生きる知恵のある蚊のお母さんたちは、産卵に適した場所として都市部を選んでいるのではないかと想像しています。越冬さえする蚊の卵ですから、私はかなり強靭な生命力があると睨んでいます。
 以前、初秋に那須高原だったかをドライブしているとトンボの大群がたわわに稲穂をつけた田圃の上空を飛び回っていました。日光の川辺では赤蜻蛉の群れを見たことがあります。私の住む湘南・片瀬でもそろそろトンボたちの姿が現れそうです。
 蚊を捕食する虫たちが大量発生してくれれば助かりますが、都市部ではそうした捕食する虫たちが大量発生する環境がほとんどないことと、蚊が大好きな血を蓄えている人間の生息密度が高いこともあり、また保温環境も適度にあるので、蚊にとっては種の保存に最適な環境だと考えても良さそうです。
 厳しい環境に置かれた今夏の蚊は、その環境に適応しようと必死になるだろうと思われ、特に都市部の蚊たちは生存能力をフルに発揮させるのではないかと想像しています。環境が変わればその環境に適合する個体たちが生き延びるという進化論の視点からも興味が湧いています。この秋、蚊たちはどのような戦略を取るのか注目しているところです。とはいえ、都市部にお住まいの方は、ぜひお気をつけください。中嶋雷太

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