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ビーチ・カントリー・マン・ダイアリー(17):「ハマヒルガオのような…」

 卒業式と入学式の別れと出会いの季節が慌ただしく過ぎ、昨日までの桜をめぐる喧騒などなかったような日常が戻ると、季節は初夏になっています。浜辺を散歩していていると、青空に太陽が白く輝き、砂浜には遠く陽炎がたっています。海水温はまだ低いものの、波待ちをするサーファーたちの黒い影が増え、お母さんに連れられた子供たちが砂浜にダイブし、砂まみれになり遊んでいます。
 そして、誰も気にはとめないハマヒルガオが咲き始めています。砂溜まりのあちらこちらで、淡いピンク色の花が風にふらふら吹かれています。
 子供のころから、お花屋さんで売られている綺麗に整えられた花よりも、雑草のような花が好きで、春先なら土手に群生した菜の花、真夏なら海岸近くの朽ちかけた壁に這い茂る朝顔、そして人知れず浜辺に至る砂溜まりの浜昼顔…等々、派手さはなくとも必死に生きるその姿は、私の心を惹きつけて止みません。中嶋雷太

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