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《エッセイ》我が家の"スタッフ"たち 9月24日

「くっさー!!!」
寝起きの顔を洗うために
洗面台に向かう途中で、
思わず独り言をこぼす。

「廊下」と呼ぶにはあまりにも短い、
「リビング」と「洗面所兼脱衣所」を結ぶ空間には
今朝も悪臭が漂っている。
我が家はなぜか配水管に
U字型のトラップがついていない。
だから集合住宅の3階に位置するこの部屋には
汚水やら何だかよくわからない悪臭が
容赦なく昇ってくる。
賃貸契約する時に構造まで
見抜けなかったのが悔やまれる。

すかさず、
プシュッ
何かが吹き出す音がした。
足下の消臭剤が
アロマな香りを噴霧してくれたのだ。

我が家の消臭剤は
「自動型」と呼ばれるタイプで
電池式で動き、
タイマーをセットしておくと
自動で臭い消しをしてくれる。

偶然、その時間に
重なっただけかもしれないけれど、
私の独り言を聞いていたかのように
反応してくれたので
思わず「ありがとう」と呟いてしまった。

物にも命というか、
魂のようなものが宿る

私は信じているので
そういう反応になる。

物は何も言わず、
持ち主のために健気に働く。
そして壊れたり、
寿命を迎えると
大抵容赦なく捨てられる。

だからこそ、
物に支えられて生活していると感じた時、
私は感謝を口に出す。
口に出せない状況では
心のなかで感謝を呟く。

そうしていると、
一層身の回りの物に
守ってもらっているような気がして
勇気づけられたり、
嬉しくなったりする。
大切に使った物からは、
自分も助けられている気がするのだ。

使い捨てることが
当たり前になっている
世の中だからこそ、
わざわざ自分のところに
やってきてくれた

我が家の"スタッフ"たちに
今日も感謝の念を送ろう。

我が家の消臭剤。今日もがんばってくれてありがとう

最後まで読んでいただき
ありがとうございました。

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